古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 大競技場 Circus Maximus

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

2-5人用/45分

戦車競走はローマではとりわけ人気がありました。円形の大競技場は、喚き喝采しながら競走を観戦する二十万もの観客を収容できました。馭者は色分けされたチームに分けられました。彼等の中には無数の競走を闘った者もいました。最も成功した者は、人々から英雄として崇められました。勝利の報奨は途方もないものでした。しかし危険も大きく、多くの者がその勇気の代価に命を失いました。

「大競技場」では、プレイヤーはそれぞれ戦車三乗によるチームを操ります。プレイヤーは全員五枚の走行カードを受け取り、これを個々の戦車に好きなように割り振ります。最初に自分の戦車三乗全てにゴールラインを割らせたプレイヤーがゲームに勝利し、大衆の称賛を浴びます。

用具

ゲーム盤を使用します。加えて、プレイヤーはそれぞれ一色、値が1〜5のカードを受け取ります。また同じ色のカウンターを三つずつ受け取ります。

準備

ゲーム盤を広げます。古代ローマの大円形競技場が描かれています。競走路の一角に、明色で示された開始位置が15マスあります。プレイヤーはそれぞれ五枚の手札を受け取り、自分の前に一列に晒します。また、自分の色の戦車を表すカウンターも三つ受け取ります。

戦車の整列

第一ラウンドの開始プレイヤーを選びます。各プレイヤーは時計回りに、空いている開始位置を一マス選んでそこにカウンターを置きます。そして第一ラウンドの最終プレイヤーから第二ラウンドを始めます。ここでは二つ目のカウンターを、第一ラウンドとは逆の順番で置いていきます。第三ラウンドも同様に、第一ラウンドと逆の順番で行います。そして競走が始まります。

ゲームの流れ

プレイヤーの目的は、自分の戦車三乗に競走路上を時計回りに走らせて一周させた後、盤中央にある明色で示されたゴール位置のうちの三つのマスに乗せることです。ゴール位置から馭者は輝かしき皇帝に拝礼を行い、そして競走に勝利します。

ゲームは何ラウンドかに渡って行われます。毎ラウンド、三乗の戦車全てが移動し、五枚全ての走行カードが使われます。プレイヤーはそれぞれの戦車にどの走行カードを使うか決めなければいけません。

各ラウンドにおける移動の順番は、戦車の位置に基づいて決まります。前を行く戦車が常に、後続の戦車よりも先に移動します。

移動の順序

各ラウンドの正確な移動順を決めるため、競走路を四つに分けます。長い直線の領域がふたつと、その二直線を繋ぐ暗色の継ぎ目領域が曲がり角にふたつ、以上の四領域です。

最初に、首位の走者を含む領域にいる戦車が移動し、次に、それに続く領域の戦車が移動し、以下同様に全ての戦車が移動するまで続けます。

長い直進路においては、一番前にいる戦車が最初に移動します。いくつかの戦車が同一線上に並んでいるとか、あるいはいくつかが同じ継ぎ目領域上に並んでいるという場合は、より中央に近いほうの戦車が先に移動します。

戦車の移動

自分の操る戦車が移動する順番になったら、プレイヤーはどの走行カードをその戦車に割り振るか決めなければいけません。

これを行うには、まず自分のカードの列から一枚選んで自分の側に引き寄せます。続いて選んだカードの数字ぶんだけ、一マスずつ声をあげて数えながら、戦車を動かします。戦車はどの方向にでも動かせますが、しかし必ず直進しなければならず、また空いているマスしか通過もできません。カードに書かれている移動歩数は使い切らないといけません。

このあとプレイヤーは二枚目のカードと、あるいは三枚目のカードも選び、同様の処理を繰り返すことができます。戦車一乗につき最大で三枚のカードを使用できるのです。移動の方向はカードごとに変えることができます。逆進しても構いません。

この戦車の移動を終えたら、使用したカードを全てひっくり返します。従ってこれらのカードは伏せた状態になります。それぞれのラウンドにおいて、一枚のカードは一乗の戦車に対してしか使えないのです。

そして移動順が次に来る戦車のプレイヤーがそれを動かし、同様に続けていきます。

それぞれの戦車には走行カードを最低でも一枚ずつ割り振らないといけません。従って、三乗目の戦車のために少なくとも一枚は残しておく必要があります。動かしたくないまたは動かせない戦車があった場合は、カードを一枚裏返さなければいけないのです。このときプレイヤーは、カードに示された歩数を全て使い切るか、あるいは一切使わないか、どちらかを選ばなければいけません。歩数を部分的にのみ消費するということはできないのです。ラウンド中に使用しなかったカードは捨て札になります。

次のラウンド

全員が自分の戦車三乗を移動させたらラウンドは終了となり、次のラウンドが始まります。プレイヤーはそれぞれ自分のカードを全て表に戻して、自分の前に一列に並べます。移動はやはり首位の戦車から始めます。

ゲームの終了

全てのプレイヤーの目的は、自分の戦車三乗を競走路上で時計回りに走らせて一周させた後、ゲーム盤中央にある明色で示されたゴール位置、そのうちの三つのマスにそれぞれを乗せることです。

ゴールのマスには、薄いほうの境界線からしか進入できません。戦車がゴール位置のうちのいずれかのマスに到達したら、残っている歩数は廃棄され、そしてその戦車はそれ以上動けなくなります。以降のラウンドでは、この戦車にはカードを割り振りません。

自分の三乗の戦車全てを最初にゴール位置に乗せたプレイヤーが、ゲームに勝利します。他のプレイヤーは、ゴール位置が全て埋まるまで続けても構いません。そしてゲームは終了となります。

別の競走方法

複数のカードを使ったときであっても戦車の移動は途切れなく一直線でなければならない、という要求を容れると、ゲームは更に難しいものになります。二枚のカードの間で移動方向を変えたい場合は、カードを一枚余計に捨て札にしなければいけません。曲線上での移動は遅くなり、歩数の大きいカードは直線でしか役に立たなくなるでしょう。

6の数字カードをゲームに加えることもできます。ゲームはより速く動くようになり、そして慎重な考慮を要する新しい戦術的可能性が存在するようになります。

六枚の走行カードを使って、新しいルールを導入することができます。各戦車には走行カードをちょうど二枚ずつ割り当てなければいけない、というものです。こうなると戦車の速度はより一定し、そして後ろに下がった戦車が追いつくのは更に厳しくなります。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 商人 Mercator

©Reiner Knizia, 2002
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3〜7人用/20分

帝政初期に、ローマの貿易は絶頂期を迎えました。様々な商品をローマに供するため、貨物船が地中海の貿易港の間を疾走しました。

「商人」において、プレイヤーはそれぞれ商船の船長に扮します。商品を船に積み込むために、全ての船がとある港で一堂に会したのです。カードはシャッフルして、商品を表すのに使います。毎ラウンド、いくつかの商品が売りに出されます。それぞれのプレイヤーは最高の商品を最も有利な価格で手に入れようと試みます。最大の収益は、最も値打ちのある貨物を本国へ持ち帰った船の得るところとなります。

用具

ゲーム盤は必須ではありません。ですが0から59までの数字が打たれたゲーム盤を使えば、うつろいゆく状況の概観を得やすくなるでしょう。「近衛兵」のゲーム盤上部がこの目的に適しています。

加えて五色それぞれ1〜10のカードが必要です。カードは商品を表します(カードに描かれた人間が商品だと勘違いしないようにしてください)。また、各プレイヤーにはそれぞれ異なった色のポーンが一つずつ必要になります。最後に、チップも使用します。

準備

ゲーム盤を広げます。全てのプレイヤーは自分のポーンをゲーム盤の隅の0のマスに置きます。各プレイヤーは初期資本金としてチップを50点分ずつ受け取りますが、ゲーム中自分の資金の量は隠しておきます。誰から始めるか決めます。

50枚のカード全てをシャッフルします。ですがこのうち使うのは一部のカードだけで、その枚数はゲーム人数によって決まります。次の表に、ゲーム開始時に山札としてゲーム盤の脇に伏せて積むカードの枚数が示されています。残りのカードは全てゲームから取り除きます。

プレイヤー:3/4/5/6/7
カード枚数:24/32/40/45/50

ゲームの流れ

各プレイヤーは時計回りに手番を行っていきます。手番のプレイヤーは最初に山札から一枚めくります。もし望むなら二枚目を、更には三枚目でも、めくることができます。めくったカードは現時点で市場に出ている商品であり、ここでこれらのカードは一組になって競りにかけられます。めくられた全てのカードは一緒に競られます。ひとまとまりのうち一部だけを買うということは不可能です。競りが終わったら、次のプレイヤーが次の組をめくって、この手順を繰り返します。

カードの競り

それぞれのプレイヤーは、売りに出された商品に対してどれだけの値を付けるか決め、決めただけのチップを拳に握ります。拳の中に何も入れなくても構いません。

全員の準備ができたら、全てのプレイヤーは拳を同時に開き、各自の競り値を宣言します。最も高い競り値を付けたプレイヤーが、競りの対象であるめくられたカードを受け取り、競り値相当のチップを銀行に支払います。カードを表にして自分の前に広げることにより、商品を自分の船に積み込んだことを示します。最後に、カードの値を合計して、値のぶんだけ自分のポーンを前進させます。

二人以上のプレイヤーが同じ価格で最高値を付けていた場合、手番プレイヤーの左から時計回りに優先権があります。カードをめくったプレイヤーは末席として扱われ、このような状況では常に負けます。

全てのプレイヤーが拳に何も握らないことを選んだ場合、これは明らかに誰もその商品に興味を持っていないということです。カードは裏返され、ゲームから取り除かれます。

船の積載量

ゲームの中で、プレイヤーはたくさんのカードを集め、船にはそれらの商品が積載されるでしょう。ポーンは商品を集めるたびに、積荷の合計価値を常に示しながら、ゲーム盤上を先へと進みます。これはゲーム進行の良い目安になります。

船には商品六品ぶんの積載量があります。誰も六枚をこえてカードを所有することはできません。いったん取得した商品を返却することはできません。競りに出ている一揃いの商品を獲得すると上限を超えてしまうというプレイヤーは、その競りには参加できません。

カードをめくるときは、少なくとも誰か一人が競りに参加できるような枚数しかめくれません。

六枚のカードで船が満杯になったプレイヤーは、そこから先のゲームには参加できません。新たな商品をめくることも、競りに加わることもできなくなります。

競りの終了

一人を除く全プレイヤーの船が満杯になったら、残った一人は必ず、自分の船を満杯にするだけのカードを山札から引いていき、これを無料で獲得します。新たに引いてきた商品のいずれについても、これを拒否することはできません。これで競りは終了となります。

まだ何人かの船が満杯になっていないという場合でも、山札が尽きたら競りはやはり終わりになります。この状況に対処するために、プレイヤーは山札の残り枚数を数えることができます。

貨物の売却

競り終了時において、ゲーム盤上のポーンの位置は、各船の貨物の最終的な価値を示しています。最も価値ある船荷を持ったプレイヤーは、ローマで自分の商品を売却してチップを一番多く受け取ります。二番目のプレイヤーはそれより少ないチップを受け取り、以下同様に続いていきます。下の表に、支払われる額の詳細があります。貨物の価値はプレイヤーの人数によって変わることに注意してください。

同点の場合は、チップを足し合わせて、同点になっているプレイヤー全員で等分します。

プレイヤー人数/3/4/5/6/7
1位/30/30/40/50/60
2位/15/20/30/40/50
3位/- /10/20/30/40
4位/- /- /10/20/30
5位/- /- /- /10/20
6位/- /- /- /- /10

ゲームの終了

全ての貨物を売却したら、ゲームは終了します。最も裕福な商人の勝利となります。

シリーズ

何ゲームか連続して行い、ゲームごとにチップを全部合計していくということもできます。終了時に最も裕福だったプレイヤーの勝利となります。

色ボーナス

同意の上で、六枚のカードの中に五色全てが含まれていた場合、積んだ船荷の価値は十点だけ追加されるとしても構いません。消費者は幅広い商品を扱う商人を好むものです。

公開競り

特にプレイヤー人数の多い場合は、声で値付けを行う競りにするのもよいでしょう。「他にいらっしゃいませんか、他にいらっしゃいませんか」というように。最高値を宣言したプレイヤーが品物を受け取るのです。こうすると全く異なったゲームになります。趣が異なりますので、好みのルールを選んでください。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 近衛兵 Die Praetorianer

©Reiner Knizia, 2002
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2-4人用/10分

ある時、皇帝個人の護衛のため、近衛兵が組織されました。政治の中心に近い近衛兵は、政治事件において重要な要因となりました。とりわけ危機の時代においては、近衛兵は皇帝の打倒および擁立に関して、決定的な役割を果たしました。3世紀の動乱において、ローマは28人の軍人皇帝を見ることになりましたが、そのうち自然死を迎えたのはわずか一人でした。

このゲームでは、軍人皇帝時代における権力闘争を扱います。カードは対立する二陣営の影響力ある近衛兵および指揮官を表します。プレイヤーは何枚かカードを引きます。目的は、可能な限り多くの組み合わせを集めて、時機を逸することなく軍団を支配することです。力に飢えたプレイヤーが拡大に走りすぎ、二陣営の間に入り込んでしまうと、影響力は瞬時に消えてしまうでしょう。新たな皇帝になるのは誰でしょうか?

用具

ゲーム盤に加えて、五色それぞれ1から10の数字カードを使用します。また、赤、紫、青、緑の旗印カードも一枚ずつ必要です。さらに、各プレイヤーそれぞれに一つずつ色つきのポーンが必要になります。

準備

ゲーム盤を各プレイヤーの間に広げます。0から99まで数字が打たれたマスが示されています。手番の順を決めてください。最初のプレイヤーは自分のポーンを0のマスに、二人目は3に、三人目は6に、四人目は9のマスに置きます。これが近衛兵の支持を巡る争いにおける、各プレイヤーの開始位置になります。次の皇帝になるためには、九十九番目のマスに到達しなければいけません。

全ての数字カードをシャッフルし、ゲーム盤の側に裏を向けて撒き散らします。赤と紫のカードが一陣営に属し、青と緑のカードがもう片方の陣営を組んでいます。黄色のカードは中立です。

対立する両陣営に属する色の組み合わせがすぐ思い出せるように、赤と紫の旗印カードを盤の一端に置き、青と緑の旗印カードを反対の端に置きます。旗印カードは他には意味を持ちません。

ゲームの流れ

手番を順繰りに進めていきます。手番のプレイヤーはカードを一枚一枚めくっていき、自分の前に表にして置きます。

一つの陣営および中立のカードのみをめくっている限りは、手番プレイヤーは好きなときに自分の手番を終えて、めくったカードの価値を確保することができます。あるいは続行してさらにカードをめくっても構いません。

両方の陣営のカードをめくってしまったら、両陣営の板挟みになり、手ぶらで去る羽目になります。

手番ごとの得点計算

プレイヤーは手番を終えた時に、一つの陣営および(あるいは)中立のカードだけを持っているのであれば、めくったカードの数字を全て足し合わせ、その数字だけ自分のポーンを進めます。この場合プレイヤーは近衛兵と指揮官を何人か、首尾良く説得して自分の側に引き入れたことになります。

両方の陣営のカードをめくってしまった瞬間に、プレイヤーは近衛兵の対立の渦中に立たされてしまい、影響力を失います。手番は即座に終了してしまい、ポーンを進めることはできません。

いずれの場合も、めくったカードは脇に退け、裏にして、捨て札の山にします。そして、次のプレイヤーが自らの運を試す番になります。

特別得点

既にめくられたものと値が一致するカードを、同じ手番中にめくった場合、直ちにそのカードの値だけ自分の駒を進めることができます。カードの陣営は考慮しません。この得点は、手番がどのような形で終了するかに関らず受け取れます。値の一致した二枚のうち後にめくったほうのカードは、即座に捨て札にします。その後、手番を通常通りに続行します。

ゲームの終了

誰か一人が99点目のマスに到達あるいは通過したら、その時点でゲームは終了します。このプレイヤーが勝利し、新しいローマ皇帝になります。

ゲームが終わるより前に全てのカードをめくってしまった場合、捨て札をシャッフルしてもう一度まき散らし、ゲームを続行します。

12マス後退

12を五枚入れることによって、ゲームに別種のひねりを加えることができます。12は全て中立のカードです。12をめくったプレイヤーは、これを自分で持っておくことはできず、その代わり、これを直ちに他のプレイヤーに渡さなければいけません。渡されたプレイヤーは自分のポーンを12マス戻します。その後で、12のカードは捨て札になります。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 帝国 Imperium

©Reiner Knizia, 2002
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2-5人用/10分

西暦100年、トラヤヌス帝のもとローマ帝国の拡大は最高潮に達しました。帝国はブリタニアからエジプト、スペインからメソポタミアにまで及びました。ローマはその隆盛を極めていたのです。

「帝国」は、ローマ帝国の成り立ちをもう一度我々に見せてくれます。ラウンドごとに、プレイヤーは帝国の各地域にマーカーを配分していきます。毎ラウンド一地域の支配権が決定されます。長期間の発展をなおざりにすることなく、正しい時期に最大の影響力を発揮することが肝要です。

用具

ゲーム盤に加えて、各プレイヤーにそれぞれ一色ずつ、1から9の数字カードと二枚の旗印カード、ポーン一つとチップ14枚が必要です。チップは色が塗られた裏側をマーカーとして使用し、金銭的な役割は持ちません。

準備

ゲーム盤を広げます。ゲーム盤には九つの地域に分けられたローマ帝国が示されていて、各地域には1から9までの番号が割り振られています。また、0から30までの数字が振られた得点表もあります。

プレイヤーはそれぞれ自分のポーンを得点トラック上の0の場所に置き、各自のマーカー14枚を手元に置きます。全員、自分の色の1から9までの数字カード及び旗印カード二枚によって構成される手札を受け取ります。これでゲームを始められます。

ゲームの流れ

ゲームは八ラウンドに渡って行われます。各ラウンドはそれぞれ三つに区切られます。

最初に、各プレイヤーがそれぞれ三つの地域を選びます。続いて、選んだ地域それぞれにマーカーを置きます。最後に、一地域の支配権が解決され、それに従って得点が分配されます。

プレイヤーの得点は得点表に示されます。終了時点で最も多くの得点を獲得していたプレイヤーがゲームに勝利します。

1. カード選択

各ラウンドの開始時に、全プレイヤーは一斉に三つずつ地域を選びます。一人のプレイヤーが一ラウンドに同じ地域を二度以上選ぶこともできます。

地域の選択は、それぞれのプレイヤーが、選んだ地域に対応する数字の書かれたカードを取り、各自の前に伏せて出すことで行います。

同一ラウンドに一つのエリアを三回選びたいというプレイヤーは、対応する地域のカードと一緒に旗印カード二枚を出す必要があります。あるひとつの地域を一回と別のもうひとつの地域を二回選びたいというプレイヤーは、旗印カードを一枚、どちらの地域に用いるのか明解に示せるような形で、使用する必要があります。

全員が過不足無く三枚ずつカードを出したら、カードを一斉に公開します。

2. マーカーの配置

全員が出した三枚のカードを開いたら、対応する地域に各自のマーカーを置きます。プレイヤーはそれぞれ順番に、自分のマーカーを三つ取って選んだ地域に置きます。全員が状況を把握できるように、マーカーを置くときにそれぞれの数字を宣言してください。マーカーが足りなくなったプレイヤーは、選んだ地域に全てにはマーカーを置けなくなります。後になってマーカーを余計に手に入れたとしても、置き損ねた地域に埋め合わせを行うことはできません。

3.一地域の解決

全プレイヤーがマーカーを盤上に置いたら、ラウンド数に対応する地域の支配権が解決されます。つまり、第一ラウンドの終了時には第1地域が解決され、第二ラウンド終了時には第2地域が、となっていきます。但し、第8地域と第9地域は両方とも最終(第八)ラウンドに解決します。

解決する地域に置かれたマーカーの数を数えます。最も多くマーカーを置いていたプレイヤーが、地域の番号と同じだけの得点を獲得します。このプレイヤーのポーンを相当数進めて得点を表示してください。二番目に多い数のマーカーを当の地域に置いていたプレイヤーは、この地域に書かれた二番目の数字と同じだけの得点を獲得し、三番目のプレイヤーは三番目の数字と同じ得点、以下同様に処理します。

地域に書かれた数字に対応した得点を全て授与し終わってしまったら、残りのプレイヤーは得点無しということになります。ここで重要な決まりがあります。地域の解決時に、最弱のプレイヤーには得点が全く与えられません。地域内に全てのプレイヤーが存在していた場合は、マーカーの数が最も少ないプレイヤーが最弱です。一方、地域内に存在していないプレイヤーがいた場合は、そのプレイヤーが最弱となります。

同点の場合、同じ数のマーカーを置いていたプレイヤーが二人の場合は、双方が一段下の数字を得点します。とりわけ、弱いプレイヤーの間で同点が発生した場合は、両方とも一点も貰えないという事になってしまいます。

三人以上が同点になった場合、そのグループ内で属しうる最も低い順位の得点を受け取ります。

地域が解決されたら、全てのプレイヤーはその解決された地域から自分のマーカーを取り戻します。これでラウンドは終了となります。各自が出したカードは全て手札に戻します。そして次のラウンドが始まります。

ゲーム終了と勝利条件

八ラウンドを行い、全ての地域の解決が行われたら、終了となります。得点表のポーンを最も先まで進めたプレイヤーがゲームに勝利し、ローマ皇帝となります。

30点ゲーム

ふつう、ゲームの勝者の得点は30点をだいぶ下回ります。変形ルールとして、誰かが最初に30点を獲得し勝利するまで、ゲームを続けるようにすることも可能です。

この場合、ゲームは八ラウンド以上続くことになります。従って、第八ラウンドでは第8地域のみ考慮し、そのあと第九ラウンドで第9地域の得点が与えられます。それが終わったら、また一から繰り返します。但し、第十ラウンドでは第1地域と第2地域を両方解決します。第十一ラウンドでは第3地域を、第十二ラウンドでは第4地域を、以下同様に解決していきます。

こうなると、第七、第八、第九ラウンドでは、支配権獲得のために小さい地域を再び考慮に入れることになります。しぜん、中くらいの地域がすぐその後に魅力的になってきます。しかるに、ここで新たなリスクと緊張感がプレイヤーに突きつけられます。ゲームが終わるのはいつなのでしょうか、そして得点処理がなされないまま残ってしまうのはどの地域なのでしょうか?

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 歴史の糸車 Das Rad der Geschichte

©Reiner Knizia, 2002
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2〜5人用/10分

もう一度、物語の始まりに戻りましょう。ローマ創設の何世紀も昔、アペニン半島には既に様々な人々が住んでいました。ラテン人、サビニー人、ウンブリア人、エトルリア人、サムニウム人などです。人々は互いに交わりました。イタリアは諸文化、そして社会階層の坩堝となったのです。ある者達は興隆して力と繁栄を手にし、またある者たちは足跡を残すことなく消えていきました。

我々の最初のゲーム「歴史の車輪」は、これらの事象をたどるものです。開始時点では、カードは大きな円を描いて配置されています。カードの各色は人々の部族を表しており、個々のカードの数字は諸社会階層を表します。次々と手番が回る中で、各プレイヤーは円からカードを一枚ずつ取っていきます。目的は、一部族の全てのカードをひとつにまとめ、持続性を持った共同体に統合することです。しかしご注意を、前進には犠牲が付き物です。ある階層の零落が、他の全階層の興隆のためには必要なのです。

用具

五色それぞれ1から5までのカードを使用します。また、黒のポーン1個、メモ帳と鉛筆も必要になります。

準備

25枚のカードをシャッフルし、表を向けて大きな円を描くように並べます。ポーンは円上にある任意の2枚のカードの間に置きます。ゲームを開始するプレイヤーを選びます。

ゲームの流れ

手番はテーブルに座っている順に進めていきます。手番のプレイヤーは、ポーンを現在の位置から時計回りに、隣のカードか2つ先のカードか3つ先のカードのところまで進めます。手番プレイヤーはその場所のカードを取り、ポーンのほうは今カードが取り去られて空いたその場所に置いておきます。カードはそれを取ったプレイヤーの手前に、表を向けて並べます。以上が済んだら、隣のプレイヤーが手番を行い、ポーンを動かしてカードを取ります。

精算

一色のカード5枚のうち最後の5枚目のカードが円から取り除かれたら、得点の計算を行います。この色の部族は一つになり、永続する共同社会を形成します。

全てのプレイヤーは、自分の持っているこの色のカードの数字を合計しただけの得点を受け取ります。それが終わったらゲームは再開されます。

ゲームの終了

ある一つの数字が書かれたカード5枚のうち、最後の5枚目のカードが誰かによって円から取り除かれたら、ゲームは即座に終了します。このカードの数字によって示される社会階級は、零落します。

ここで各プレイヤーは、自分の持っているこの階級のカードの値を合計しただけの減点を受けます。極端な場合、プレイヤーの得点は負の値にもなり得ます。"Quidquid agis, prudenter agas et respice finem." (何をするにせよ、思慮深く行い、結末を考えよ)

取られた最後のカードが、ある色の5枚目のカードでもあった場合、その色のカードの精算もゲーム終了前に行われます。

シリーズ

このゲームは非常に短いので、複数ラウンドに渡って行い、総得点の最も高いプレイヤーを勝者とすることもできます。

あるいは、一人のプレイヤーが50点に達するまで、ラウンドを繰り返しても構いません。

単独カードの没落

巧妙なルールを付け加えることができます。つまり、それぞれのプレイヤーはゲーム中に一度だけ、円から取ってきたカードを、裏を向けて直ちに廃棄することができる、というものです。このカードは転落し、ゲームから取り除かれたものとして扱います。

カードの転落により、一部族の精算が不可能になり、また一階級の零落が防がれます。その色または数字のカードを五枚並べることは、もはや不可能なのです。

このルールを採用すれば、相手が高得点を挙げるのを防いだり、あるいは例の没落の匂いを嗅ぎ取ったのであれば、自分の階級を保護したりできます。

このルールを5人ゲームで使用する時、どの値のカードも一枚ずつゲームから取り除かれてしまい、通常の形でゲームを終了させることができなくなってしまう可能性があります。この場合、全てのカードを取るまでゲームを続けます。

色と値の精算

全ての数字が同じだけの潜在能力を持つとすれば、ゲームは違った流れを辿ることになります。ということで、同じ値のカード5枚が円から取られたら、プラスの精算が行われるようにします。これはなかなか面白い代案です。

ある値の5枚目のカードが円から取られた場合、その値のカードを精算します。但し、カードの値の評価は逆転させます。1は5点になり、2は4点、3は3点のまま、4は2点、そして5は1点にしかなりません。低い社会階級のほうが高い階級よりも稼ぎが大きいのです。

色が精算される場合は、通常のままの値を用います。部族の中では、高い階級は強い影響力があります。

ゲームは、一つ以上の色と一つ以上の値が精算されるまで続行します。ゲームが終わるまでに、たくさんの色またはたくさんの値が精算されるかもしれません。ですが、両方から一つずつが精算されたら、ゲームは終了です。この変形ルールでは、プレイヤーの得点がマイナスされることはありません。

一枚のカードを取ることによって、一つの色と一つの値の精算が同時に起きる可能性があります。この場合、両方の精算を記録してからゲームを終えます。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / カテリーナの陰謀 Die Verschwoerung des Catilina

©Reiner Knizia, 2002
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3-5人用/45分

カテリーナの陰謀は、ローマ革命期における共和制の崩壊過程を示す一例です。紀元前64年の執政官選出選挙でキケロに敗れたカテリーナは、政変を企てました。しかしこの企みは表出し、そして前63年の11月8日、カテリーナも出席する元老院で、キケロは秘密にしていた計画を明らかにしました。カテリーナは追放処分となり、陰謀の主導者は罪状が暴かれ有罪判決を受けました。

以下に記す推理ゲームは、カテリーナの陰謀を暴き出す過程を再現するものです。カードはこの時代の様々な著名人を表します。反逆者はこの中にいるのです。カードはシャッフルして何枚か抜き取り、残りをプレイヤーに配ります。プレイヤーは互いに質問していくことで、抜き取られたカードとして示される陰謀者を特定しようと試みます。論理的な推論を導くことが、成功への鍵となります。陰謀者全員を最初に正しく特定し、宣言したプレイヤーがゲームに勝利します。

用具

五色それぞれ1から6までのカードを使用します。加えて、各プレイヤーにメモ帳と鉛筆がひとつずつ必要です。

準備

はじめに、30枚のカードを各色毎に分けて、五つの山にします。それぞれの山を別々にシャッフルして、そのあと各山からカードを一枚ずつ抜き取り、伏せて脇に置きます。この各色一枚ずつ抜き取ったカードが、陰謀者となります。残った25枚のカードは一緒にシャッフルします。

三人ゲームや四人ゲームの場合は、この時点でもう一枚余計に抜き取り、陰謀者を六人とします。この五枚ないし六枚の陰謀者カードはゲーム終了まで、間違いの無いように脇に退けておいてください。

残りのカードは各プレイヤーに同じ枚数ずつ配ります。全員自分のカードを手札に持ち、中身を見られることのないようにしましょう。そして誰から開始するか決定します。

陰謀者の捜索を開始する前に、各プレイヤーとも自分のメモ帳の上に情報シートを作っておくべきでしょう。結論を引き出すためにゲーム中集めた情報は、ここに記しておくことができます。また、これも重要なことですが、プレイヤーが自分のシートに書いた情報は秘密にしておきます。

情報シート

自分の情報シートは自分の好みに従って作りましょう。以下のシステムは効果的だとされています。

カードの数だけ枠を用意します。この枠の中に、対応するカードの情報を記録します。個々の数字を横列に組み、色は縦列に取ります。縦横各列の末尾には、その列の色や数値全体の情報を記すため、一つ余分に枠を作ります。全ての欄に、他プレイヤーを表す記号を記入します。

ゲームの流れ

プレイヤーは交替で質問を行っていきます。各プレイヤーは、特定の一色、あるいは特定のひとつの数字の有無について、質問を一つ行います。質問先は、以下に述べる二通りから選ぶことができます。

ひとつめの方法では、一人のプレイヤーに質問を向けます。質問を受けたプレイヤーは、質問に合致する手札を全て、裏を向けて質問者に渡します。同時に渡したカードの枚数を宣言します。質問者はカードの中身を調べることができますが、その後伏せて持ち主に返却しなければいけません。

もうひとつの方法では、質問を全てのプレイヤーに向けます。どのプレイヤーも、質問に合致するカードを持っているのであれば、そのうち任意に一枚選んで手渡します。合致するカードがない場合、そのことを全員に宣言してください。質問者はカードの中身を全て調べてから、所有者に返却します。

質問を行い、カードを受け取って中身を調べ、そして返却したら、次のプレイヤーが新たな質問を行う番になります。

情報シートへの記入

情報シートへの書き込みはいつでも行えます。前述したようなシステムを使う場合は、書き込みは以下のようになるでしょう。

ゲーム開始時に、情報シート上、自分が持っているカードの欄には大きく丸を付けます。同時に、その欄に書かれている記号は全て塗り消しておきます。

あるプレイヤーが、特定のカードを持っていないということが確実になったら、情報シート上の該当する欄にある、そのプレイヤーの記号を消します。逆に特定のカードを持っているとわかったなら、所有者の記号を丸囲みし、他の記号を全て消すことによって、その欄に印を付けます。

各縦列と横列に余計に付けられた枠には、それぞれの色または数字についての、各プレイヤーの目下確認できている所有枚数を記録しておきます。誰かの所有枚数が間違いなく立証されたら、その枚数を丸囲みして、それが真の所有枚数であることを示しておきます。

あるカードについて、誰もそのカードを持っていないという結論に達したら、陰謀者を発見したことになります。対応する枠全体を塗りつぶします。成功への一歩を踏み出したわけです。

告発とゲーム終了

ゲームの目的は、なるべく早くカテリーナの陰謀を暴くことです。全陰謀者カードの数字の合計を最初に正しく宣言できたプレイヤーが勝者になります。これを行うためには、各陰謀者を個別に決定していく必要があるでしょう。ですが、時間的余裕がない場合は推測によって告発することもあるでしょう。

プレイヤーはいつでも、告発を行うためにゲームを中断して構いません。告発者は、陰謀の容疑者のカード全ての数字の合計値を宣言します。個々の容疑者カードについて宣言する必要はありません。その後で告発者は陰謀者の山を手に取り、告発が正しいかどうか確認します。

告発が正しければ、告発したプレイヤーがゲームに勝利します。

しかし告発が誤りであった場合は、陰謀者の山を、元の伏せて置かれていた場所に戻さなければいけません。このとき、陰謀者に関する情報を公開してはいけません。ゲームはそのまま続行します。無罪のカードを誤って告発したプレイヤーは負けとなり、以降は質問も告発も行えなくなります。但し質問を受けることは可能です。"Si tacuisses, philosophus mansisses."(黙っていたなら、今なお賢く思われたであろうに)

告発を行っていない故に失格していないというプレイヤーが一人しかいなくなってしまった場合、そのプレイヤーは告発を行うことの無いまま自動的に勝利します。

カードを渡すことによる手札所有者の変更

調査終了時にカードを返却せず、質問をしたプレイヤーがそのまま持っておくことにすると、ゲームは全く違ってきます。この場合、直前の手番のプレイヤーが手に入れたカードの全てについて要求する、ということはできません。

各プレイヤーの所有するカードは絶えず変化します。ローマ市民は活動し続けるのです。これはあなたの論理学への新たな挑戦です。

個人の告発

この変形ルールでは、それぞれの陰謀者は単独で告発されます。ゲーム開始時に、最低十人の陰謀者を取り除いておきます。陰謀者を一人特定できたプレイヤーは、直ちに告発を行います。告発リストを記しておき、告発を受けたカードは、告発を行ったプレイヤーに独占的に割り振っておきます。

カードが十枚告発されたら、陰謀者を明らかにします。誤った告発を行っていたプレイヤーは全て敗者となり排除されます。残った中で、正しい告発を行った数の最も多いプレイヤーが勝者となります。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 法廷 Tribunal

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

4-7人用/60分

ローマにおいて感情を呼び起こすものといえば、大規模な公判手続きに匹敵するものは他にありません。著名な人物の告発や弁護を手がければ、雄弁家として誉れを得ることができました。法は無償の弁護を規定していたのですが、このような法的責務の持つ金銭的利益は見落とされませんでした。最も高潔な人々の間ですら、贈り物や賄賂は珍しいものではなかったのです。

「法廷」は、裁判愛好者のためのゲームです。この本の中でも特に大規模なゲームであり、一定のゲーム経験を前提としています。

このゲームは我々を公判手続きの舞台に誘います。各プレイヤーは始めに、様々な集団に属している、刑事被告人を表すカードを受け取ります。毎ラウンド、ひとつの集団の有罪または無罪が決定されます。プレイヤーは順番に、弁論を行ったり金銭の支払いを申し出たりして、依頼人の支援を行います。自分の被告を無罪にした者は、たくさんの贈り物を受け取れるのです。逆に有罪となれば、司法から科料を命ぜられます。最も金銭を得たプレイヤーが勝利となります。

用具

ゲーム盤に加えて、五色それぞれ3から7まで及び10のカードを使います。また、五色それぞれのポーンひとつずつと、それに黒のポーンもひとつ必要です。

プレイヤーが四人しかいない場合は、四色しか使いません。紫のカードとポーンはゲームから外します。

加えて、人数分の青と赤のカウンター、さらにもう一つ追加で青のカウンターが必要になります。青のカウンターは票決カウンターと呼ばれ、赤のカウンターは追加カウンターと呼びます。最後に、チップがいくらか必要です。

準備

ゲーム盤を広げます。盤の中央に、二皿の秤があることが確認できるでしょう。片方の皿には「有罪(schuldig)」と、もう片方には「無罪 (unschuldig)」と書かれています。五色のポーンと(青色の)票決カウンター一個を、盤の上辺の"Iustitia"(ユスティティア:ローマ神話における正義の女神)と書かれた場所に置きます。

どのプレイヤーも、それぞれ(青色の)票決カウンターと(赤色の)追加カウンターを一個ずつ受け取ります。さらに、各プレイヤーは初期資産としてチップ20(額面20相当のチップ)を受け取ります。残りのチップで銀行を形成します。

カードをシャッフルして、各プレイヤーに四枚ずつ配ります。プレイヤーを一人選び、そのプレイヤーには追加で二枚のカードを配ります。このプレイヤーは六枚の中から二枚選び、左隣のプレイヤーに裏を向けて渡さなければいけません。これを承けて手札が六枚となったプレイヤーも、同じ手順を繰り返します。手札を二枚交換する機会が一巡りするまでこれを続けます。最後に残った二枚のカードは、余りのカードと一緒に伏せて脇に置きます。

この時点で各プレイヤーは四枚ずつカードを持っていますが、これはゲームの終わりまで持ち続けます。3から7までの数字のカードは、プレイヤーが弁護しなければならない依頼人を示します。10のカードを持っているプレイヤーは、その色に対する訴追者になります。

ゲームの流れ

各プレイヤーは、自分の持っている3から7までの数字カードに対応する色が無罪を獲得できるように働きます。弁護が成功すれば報酬のチップが与えられますが、有罪の採決は損失を生みます。プレイヤーが10のカードを持っていたら、全ては逆になります。この場合、持っている10のカードに対応する色に有罪判決が出るよう働くことになり、評決が黒となれば報酬を受け取れます。

ゲームは個々の裁判を連戦していくことによって成り立っています。各裁判の議長はそれぞれ異なるプレイヤーが務めます。最初の裁判の議長を務めるプレイヤーを選びます。それ以降は、議長の座を時計回りに交代していきます。進行中の審理の議長を務めるプレイヤーの前に、黒のポーンを置いておきます。

議長は裁判を司り、議論のひとつひとつが適切な時間内で収まるよう、場の秩序を維持します。各裁判は五つの段階によって構成されます。

一、色の選択

どの色を裁判に掛けるか、議長がひとつ選びます。主張をしたりチップを払ったりして、議長の選択に他のプレイヤーが影響を及ぼしても構いません。議長は"Iustitia"の場所に置かれているどのポーンでも選ぶことができます。議長がポーンを秤の中央の円のところに置き、手を離したら、色の選択は確定となり、覆すことができなくなります。

二、一般投票

裁判の始めに、告発を受けた集団、つまりは先ほど選択された色のことですが、この集団の有罪無罪をめぐる一般投票を行います。プレイヤーはそれぞれ票決カウンターを両手で握ります。片方の手で拳をつくり、その拳を中央に出します。そして、全員の拳を一斉に開きます。

拳の中に票決カウンターを握っていたプレイヤーは、有罪の投票をしたことになります。拳の中が空であれば、無罪に投票したことになります。この投票が実施されるより前の段階では、議論を行うことは許されません。

投票でどちらが多数派だったかに応じて、開始時点で"Iustitia"の場所に置かれていた票決カウンターを、「有罪」あるいは「無罪」の皿に動かします。有罪無罪が同数だった場合は、"Iustitia"の場所に置いたままにします。

投票が全員一致であった場合、あるいは六人ゲームや七人ゲームにおいては少数派の票が一票しかなかった場合は、一般投票が以降の審理を全て先取りしてしまうことになります。有罪あるいは無罪はこの時点で決定となってしまい、これ以上の審理は不要になります。

しかし普通はそういうことにはならず、裁判は続行されます。

三、弁論の順序

裁判が一般投票で結審しなかった場合、プレイヤーはそれぞれ弁論を行います。各プレイヤーの弁論を行う順序を時計回りにするか反時計回りにするかを議長が決定します。議長の弁論が最後になるように、議長の隣のプレイヤーから弁論を行います。

ここでもまた、議論とかチップの支払いによって、議長の決定に影響を与えることができます。議長は自らの決定を、黒のポーンを自分の右か左かに置きそして手を離すことによって示します。この時点で、決定を覆すことができなくなります。

四、弁論の遂行

定められた順番に従って、それぞれのプレイヤーが弁論を行います。弁論とは、自分の票決カウンターを「有罪」または「無罪」の皿に置くことを指します。

裁判におけるこの段階が、ゲームの肝になります。プレイヤーは自分の弁論の手番に、自らの弁論について他のプレイヤーと議論することができますし、また良くできた議論であるとかチップの支払いによって弁論を左右されても構いません。自らの票決カウンターを片方の皿に入れそして手を離した瞬間に、プレイヤーの弁論は確定となり覆せなくなります。

票決カウンターをいずれかの皿に置く代わりに、まだ弁論を行っていない別のプレイヤーに自らのカウンターを譲り渡しても構いません。これは、弁論を行う権利を後続の他のプレイヤーに委譲することを意味します。多くの場合は、弁論の権利を引き渡す前にチップのやりとりが行われるでしょう。カウンターを手渡した時点で、手番は終了となります。

各プレイヤーはゲーム全体を通じてそれぞれ一度だけ、自分の追加カウンターを使用できます。追加カウンターは自分の手番中、まだ票決カウンターを置く前にのみ使用できます。

そのような状況であれば、プレイヤーは自分の追加カウンターを、どちらかの皿に入れることができます。追加カウンターは通常の票決カウンターと同じように数えます。裁判が終わったら、使用した追加カウンターはゲームから取り除かれます。

あるいは追加カウンターを他のプレイヤーに、通常はチップを見返りにして、渡してしまっても構いません。

プレイヤーは弁論を行う際、所有しているカウンター全部を使用できます。票決カウンターを二個以上自分の管理下に置いている場合は、その全てを使用しなければいけません。使用するというのはつまり、皿に入れるか、一部または全部を後ろのプレイヤーに渡すかです。票決カウンターを後の裁判のために取っておくことはできません。

繰り返しになりますが、いま弁論を行っているプレイヤーだけが、カウンターを秤に置いたりカウンターを他のプレイヤーに渡したりできるのです。自分の持っている最後の票決カウンターを置いた瞬間に、プレイヤーの手番は終了となります。他のプレイヤーは票決カウンターや追加カウンターを動かしてはいけません。ですがチップの支払いを申し出ることはできます。

申し出たチップは、弁論の終了後直ちに支払わなければいけません。それ以外の約束事に拘束力はありません。ローマの弁護士はたいへん「柔軟」でした。"Caveat emptor!"(買い主は注意せよ)とローマ人が述べたのは、理由のないことではないのです。

五、評決

全てのプレイヤーが弁論を行ったら、両方の皿について票決カウンターと追加カウンターの数を数えます。より多くのカウンターが置かれている皿によって、最終的に告発を受けた色に有罪または無罪の評決が下されます。評決が下された色に対応するポーンを、下された票決の皿の下方に用意されている場所に置き、ゲーム終了までそのままにしておきます。

どちらの皿にも同じ数のカウンターが入っていた場合、ポーンは再び裁判に掛けられ得る "Iustitia" の場所に戻されます。

皿に載っている追加カウンターは全てゲームから取り除きます。プレイヤーはそれぞれ再び票決カウンターを一個ずつ受け取ります。残った票決カウンターは、 "Iustitia" の場所に戻されます。そして、黒のポーンを時計回りに、次の議長のところに移動させます。新たな裁判を始めます。

ゲームの終了と精算

ゲームは全てのプレイヤーが一度ずつ裁判の議長を務めた後に終了となりますが、あるいはもっと早く、全ての色に有罪判決なり無罪判決なりが下された場合も終了します。

ここで全プレイヤーは自分の手札を公開し、そして精算を行います。

無罪判決が下された色の3から7までの数字カード一枚につき、カードを持っているプレイヤーは、カードの数字に対応した額のチップを弁護成功報酬として銀行から受け取ります。有罪判決が下された色の場合は、カードの数字だけの額を銀行に支払わなければいけません。

10は告発者を表し、従って利益と損失は逆になります。有罪判決が下された色の場合、10のカードを持つプレイヤーは銀行から10チップを受け取ります。無罪判決なら、10チップを銀行に支払います。

判決まで行かなかった色については、対応するカードの査定は行われません。

最終的に最も多くチップを持っていたプレイヤーがゲームに勝利します。法務官への出世街道に立ちはだかるものはもはや何もありません。

上訴

古代ローマでは、法廷で上訴を行える可能性はありませんでした。それでも上訴ありとする仮定を置くことで、面白い変形ルールを引き出すことができます。

この変形ルールでは、全ての色に対する裁決が出るまでゲームを続行します。その後、次に議長となる順番のプレイヤーはひとつ色を選び、新たに裁判を行うよう求めることができます。ただし、この特例のためには5チップを銀行に支払わなければいけません。上訴を行いたくないという場合は、次のプレイヤーに上訴の権利が移り、以下同様になります。上訴が認められるのはゲーム中一回だけです。この一回の上訴が結審した時点で、ゲームは終了となります。

誰も上訴のために出費したくないと言うのであれば、ゲームは即座に終了します。

どの色を上訴するかという議論は、上訴の権利を持つプレイヤーにとって大変な利益になります。そこに損失を避ける機会を見るプレイヤーもいるでしょうし、成功による利益を失うことに怯えるプレイヤーもいるでしょう。

ここでは、ゲームの本当の最後まで、誰も自分の依頼人が確実に無罪放免になったと確信できません。緊張感が増します!

追放

議長の座にあるとき、多くはその裁判における影響力を用いて、自らの最も強い色の無罪を確実にし、大いに稼ごうとするでしょう。以下で述べる可能性、罪人を追放するという可能性ですが、この可能性は上記のような誘惑に匹敵する儲け話になります。

有罪確定の際、議長は判決が下された色を追放することを宣言できるようになります。当然ここでも、良い議論であるとか、もっと言えば、チップの支払いによって、影響を及ぼすことが可能です。

議長が追放を宣言する際、当のポーンをゲーム盤左隅に置き、手を離した時点で決定は覆せなくなります。このポーンはゲーム終了時までそこに置いておきます。

追放された色は、ゲーム終了時に得点を記録する際、数に入れられません。従って、追放は有罪判決を無力化するものということになります。これは一部のプレイヤーにとっては非常に価値あるものです。他方、成功した告発者のほうは、金になるような反論を行ってくれるでしょう。ローマ人の言ったように、"Pecunia non olet", 「金は臭わない」のです。