読書感想文:『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』小説版の美点と漫画版の問題点

※ネタバレに全く配慮していません。『悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました』小説版(なろう版第1部~第5部/商業小説版第1巻~第6巻)および漫画版の展開や結末への言及が大量にあります。 小説投稿サイト「小説家になろう」に『悪役令嬢なのでラスボス…

松浦嘉一「あとがき」(アリストテレス『詩学』)

アリストテレス『詩学』(松浦嘉一訳/岩波文庫1949年刊)pp.265-266. 【松浦嘉一 (1891-1967) 死亡後50年経過につき2018年1月より本国(日本)においてパブリックドメイン。】 【文字起こしに関する何らの権利も主張しませんので、ご自由にご利用ください】…

松浦嘉一「緒論」(「アリストテレス『詩学』)

アリストテレス『詩学』松浦嘉一訳/岩波文庫1949年刊、pp.5-54. 【松浦嘉一 (1891-1967) 死亡後50年経過につき2018年1月より本国(日本)においてパブリックドメイン。】 【文字起こしに関する何らの権利も主張しませんので、ご自由にご利用ください】 ※文…

アリストテレス『詩学』第二十六章/了(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十六章 ■■ 叙事詩とトラゴーディアと、いずれが、より優れた模倣の形式であるかといふ問題が起り得る。〔叙事詩偏重者*1は下のやうに論ずる〕。卑俗性のより少ない芸術が、より優れたものであるなら、さうして卑俗性のより少ない芸術は、常に、より優…

アリストテレス『詩学』第二十五章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十五章 ■■ 次は、詩を評論するに当つて起る諸問題とその解決とに関してである。これらはある仮定に基いてなされる。その仮定が幾箇あるか、並びに如何なる性質のものかは、この問題を次のやうに観て行くことに依つて明かになることである。詩人は丁度…

アリストテレス『詩学』第二十四章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十四章 ■■ 尚、叙事詩は、トラゴーディアと同様なる種類に分けられねばならぬ。即ち、単一もしくは複雑なるものかでなければならぬ。性格、若しくは苦悩の物語でなければならぬ。また、叙事詩の構成要素も、旋律と場面とを取除けば、それと全く同じで…

アリストテレス『詩学』第二十三章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十三章 ■■ 次に、単に叙述するだけの詩、即ち韻文を以て模倣する〔に止まり、描かれたものを舞台の上にて実行しない〕所の詩に関して述べようと思ふ。叙事詩の物語は、トラゴーディアに於いてと、同じ法則の上に仕組まれねばならぬ。即ち、物語は、単…

アリストテレス『詩学』第二十二章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十二章 ■■ 優れた措辞とは、それが明快であると同時に、卑しからぬものであることである。実際、事物に対する普通の語から成る措辞が最も明快である。然し、かやうな措辞は、クレオフォン*1やステネロス*2の詩が示すやうに卑しい。これに反して措辞は…

アリストテレス『詩学』第二十一章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十一章 ■■ 名詞(広義に於ける)には二種ある。gē(earth)の如く、意味なき分子から成立つ単純なるもの、もしくは、二個の部分から成る合成語である。後者の場合に於いては、名詞は一つの意味ある部分と、一つの意味なき部分(但し、合成語になつて…

アリストテレス『詩学』第二十章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十章 ■■ 措辞は大体から言つて次の諸部分から形作られる。字母、音節、接続的小詞(スンデスモス)、分離的小詞(アルツロン)、名詞〔広義に於ける〕動詞、格、言詞(ロゴス)がそれである。字母とは不可分なる特別な音であつて、意味ある音の一分子…

アリストテレス『詩学』第十九章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十九章 ■■ 筋と性格とに就いて論じ終つた今や、措辞と思想とに関して考ふる仕事が残つてゐる。思想に関しては「修辞学」に於いて述べたことがあてはまるであらう。思想は*1、寧ろ、学問のその部門に属すべきものだからである。登場人物の思想は、彼等の…

アリストテレス『詩学』第十八章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十八章 ■■ すべての悲劇に於いて一部分は葛藤、一部分は解決である。戯曲のそとの出来事と、そうしてしばしば、戯曲の中の出来事のある部分とが葛藤を、自余のものが解決を構成する。此処に言ふ葛藤とは、物語の初めから主人公の運命が変化しかかる、丁…

アリストテレス『詩学』第十七章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十七章 ■■ 筋を組立て、それを詞《ことば》に拵《こしら》へ上げるに際して詩人は出来るだけ、描く所のものを眼前に浮かべなければならぬ。かくして凡てを、丁度、それらが実際に起つてゐる所を目撃してゐるかの如く、明かに眺めることに依つて、詩人は…

アリストテレス『詩学』第十六章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十六章 ■■ 発見(アナグノーリシス)の如何なるものであるかは、大体、既に説き終つた。発見の種類に関して、第一に挙げられるのは、最も芸術味の少ないものであるが、単に、他に工夫なき所から、最もしばしば利用されるもの、即ちしるしに拠る発見であ…

アリストテレス『詩学』第十五章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十五章 ■■ 性格に於いては、四つの狙ひ所がある。第一は、さうして、最も重要なことは、性格は善く*1なければならぬことである。前にも言つたやうに、もしも人物の言葉もしくは行動が、何等かの一つの意図を明示するならば、その戯曲には一つの性格が出…

アリストテレス『詩学』第十四章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十四章 ■■ 悲劇的哀憐と恐怖は、場面から誘発されることが出来る。しかし、それはまた、戯曲の組立てと出来事そのものからも誘発され得る。この後の方法は前者よりも優れ、また其作家が、卓絶せる詩人であることを語る。筋は単にその話を聞く人が、その…

アリストテレス『詩学』第十三章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十三章 ■■ 以上述べてきた次に論ずべきことは、筋を仕組むに当つて、詩人は何を狙ひ、何を避けねばならないか、さうしてトラゴーディアの効果〔カタルシス〕は何から起るかといふ問題であらう。 最も優れたるトラゴーディアの筋は、単一でなく、複雑で…

アリストテレス『詩学』第十二章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十二章 ■■ トラゴーディアの組織的要素として取扱はれる、諸部分に就いては、前章に於いて、述べ終つた。然しその量、即ち、外形的に、如何なる部分部分に分けられるかと言へば次のやうな部分に分けられる。序詞(プロロゴス)*1、挿曲(エペイソディオ…

アリストテレス『詩学』第十一章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十一章 ■■ 急転(ペリペテイア)とは戯曲に描かれたる事態が、反対の方向へ前に述べられた如く〔幸福から不幸へ、もしくは、不幸から幸福へと〕変化し、しかも、その変化は吾吾が今説いてゐる様式に、即ち蓋然的な、もしくは必然な運びを以てなされた場…

アリストテレス『詩学』第十章(松浦嘉一訳)

■■ 第十章 ■■ 筋には単一と複雑との二種がある。筋が模倣する人間の行動は、当然この二種に分れるからである。単一なる筋とは、継続的な、全き一体として、前に述べた如き様式の下に進む所の行動であつて、急転(ペリペテイア)も発見(アナグノーリシス)も…

アリストテレス『詩学』第九章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第九章 ■■ 以上に述べたことから、詩人の仕事は、実際に起つたことを描くのでなく、起り得ること、即ち、蓋然、もしくは、必然的に、可能なことを描くことである。歴史家と詩人との差別は、一方が散文で書き、他の一方が韻文で書くといふ点ではない。何と…

アリストテレス『詩学』第八章(松浦嘉一訳)

■■ 第八章 ■■ 筋はある人人が想像してゐるやうに、それが一人の人を取扱つてゐるからとて、そこに統一あるとは言へない。数限りない多くの出来事が一人の人に起る。さうして、それらの出来事のある部分は統一され得ない。同様に、人一人がする行動は、数多あ…

アリストテレス『詩学』第七章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第七章 ■■ 構成要素の分析は以上の如くである。次に、吾吾は、事件が如何なる工合に仕組まれねばならぬかを、述べようと思ふ。何となれば、筋は、トラゴーディアの要素の第一位のもので、同時に、最も重大な要素だからである。トラゴーディアとは、それ自…

アリストテレス『詩学』第六章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第六章 ■■ 吾吾は六脚韻律に於ける詩〔叙事詩〕と喜劇とに於いては、後の章で述べようと思ふ。さうして、これからトラゴーディアに就いて述べようと思ふ。それには、吾吾は先づ前に述べたことの結果として生ずる定義をまとめねばならぬ。前述の事柄から定…

アリストテレス『詩学』第五章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第五章 ■■ 喜劇は、前に述べた如く、普通の人よりより悪しき人人を模倣したものである。が、それは、決して、あらゆる悪に関してより悪しくあると言ふのではなく、只ある一つの特殊な悪に関してのみ言ふのである。即ち、笑ふべきものに関してのみ言ふので…

アリストテレス『詩学』第四章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第四章 ■■ 大体から言つて、ある二つの原因が詩を生み、その何れの原因も人間の性情から流れてゐるやうである。〔*1第一の原因は人間の模倣性である。〕何とならば模倣するといふことは、人間にとりては、子供の時分から本然に備つてゐる。さうして、人間…

アリストテレス『詩学』第三章(松浦嘉一訳)

■■ 第三章 ■■ これらの芸術に於ける第三の差別は、対象の各々が模倣される形式から生れる。模倣の同じ媒材と同じ対象とが与へられても、詩人はある時は叙述体に、ある時は、その人物になり切つて物語ることが出来る。ホメロスの如きはそれである。或は詩人は…

アリストテレス『詩学』第二章(松浦嘉一訳)

■■ 第二章 ■■ 模倣者〔芸術家〕は、行動する人間を模倣するのであつて見れば、当然、これらの行動する人間は、善き人人か、乃至は、悪しき人人でなければならない。何とならば、人間の多様なる性格は、殆んど常に、この善悪二つの何れかに由来するからである…

アリストテレス『詩学』第一章(松浦嘉一訳)

詩学アリストテレス松浦 嘉一 訳(岩波文庫 1949年刊) 【Ingram Bywater (1840-1914) による英訳『Aristotle, On the art of poetry』(英Oxford: Clarendon Press 1909年刊) を底本としている。原著、英訳書ともパブリックドメイン。邦訳は邦訳者松浦嘉一 (…

ショートハイクのストーリーってオープンワールドって感じですげえ良かったよね

『A Short Hike』のストーリーって良かったよな、と改めて思ったのは、たまたまTwitterで流れてきた下記の文章を読んだときのことでした。 「オープンワールドで非アクションのゲームを所望す」 《はてな匿名ダイアリー、2021/02/02。以下「anond.(2021)」》…