ヴェガス VEGAS (Knizia 1996) 和訳

Vegas
Ravensburger(R) Game No. 26 101 7
Author: Reiner Knizia

This Japanese translation of "VEGAS" is a re-translation from the Knizia-Jacklin's English edition. This translation is made by Sawada Taiju through the courtesy of Dr. Reiner Knizia and Mr. Kevin Jacklin.

ライナー・クニーツィア作品
ラベンズバーガー製 / 二〜四人用 / 十二歳以上向け



ハロー、二本腕の盗賊諸君! ヴェガスでやることは現実の生活といっしょだ。つまりカジノに入って、何気なく賭金を積んで、相手プレイヤーを惑わせて、んで大金せしめてニヤリと笑って立ち去るってわけ。

日本語訳注:二本腕の盗賊 two-armed banditsについて。「Q. えーと、質問があるんですけど、二本腕の盗賊って何ですか?」「A. あー。これはつまりジョークでして。「一本腕の盗賊」ってのがスロットマシーンのことなんですが(アームを引かないといけないからですね。最近だと必要な動作はボタンを押すことだったりしますが)、これは昔の Las Vegas には山ほどあったんです。ですから二本腕の盗賊ってのは、 Vegas のプレイヤー達、つまり、合法性が微妙な手段を使って、お金を持っていこうとする人たちのことになります。」



ゲームの目的

賭け所を14のテーブルから小狡く巧みに選べるような、いちばんクールでクレバーなプレイヤーが、金貨をいちばん稼いでゲームに勝つのです。



内容物

・金貨十四枚
・足つきのMary Chip像ひとつ
・駒四色計四つ
・カード四色計四組(一組につき、フロントマンカード三枚、幸運カード六枚、Mary Chipカード一枚)
・黒と白の決闘用サイコロふたつ(発展ゲームでのみ使用)
・四色のカウンター各色二十枚ずつ
・ゲーム盤一枚
・金のサイコロ一つ



準備

・各プレイヤーとも、カード一組、駒ひとつ、カウンター一色20個すべて、以上を取ります。
・Mary Chip像は、ゲーム盤上の"Start"のマスに置きます。
・14枚の金貨はそれぞれ、盤上の対応する星形の場所に置きます。
・金のサイコロは誰からも楽に手が届く場所に置きます。



位置について、用意

各プレイヤーの目的は、自分のカウンターを使ってゲームボード上のテーブルにおける優位を確立し、そうして価値ある金貨を獲得することです。各テーブルには勝利に必要な金貨が一枚ずつしか置かれていないので、金貨を巡って争うプレイヤーの間で熱戦が繰り広げられることでしょう。

いちばん卑怯なプレイヤーからゲームを始めます。そのプレイヤーは自分の駒を、任意のテーブルの脚のところに置きます。

以下時計回りに、残りのプレイヤーも各自の駒を好きなテーブルの所に置きます。これはゲームをどのテーブルから始めたいかということを示します。もちろん、同じテーブルに複数のプレイヤーが付いて、大勝利を目指すというのでも構いません。これが終われば、お楽しみの始まりです!



サイコロを振る

最初のプレイヤーは金のサイコロを一回振って、自分がいるテーブル上にある、振った目が書かれている場所に、自分のカウンターをひとつ置きます。以下時計回りに、残りのプレイヤーもサイコロを振って、自分の駒があるテーブルにカウンターを置きます。



カウンターを置く

サイコロを振って出た目に対応する数字の書かれた空き場所が、テーブル上に存在している限り、カウンターはそこに置かなければいけません。もう空き場所が無いような数を振ってしまった場合は、対応する場所に既に置かれているカウンターを、自分のカウンターに差し替えます。除去されてしまったカウンターは、持ち主の手元に戻ります。全て自分のカウンターで埋まっているような数字を振ってしまったら、残念でした。何の利益も得られません。



幸運カード

テーブルでの勝利を収めるべく戦うプレイヤーを、様々なカードが支えてくれます。カードは常に、金のサイコロを振るより前に出します。またカードの使用は常に、サイコロを振るのに付け加えて行われます。

各プレイヤーとも、幸運カードの1から6までの組を持ちます。

使ったカードの値に応じて、自分の駒がいるテーブルの対応する数が書かれた場所に、自分のカウンターをひとつ置きます。一度使った幸運カードは捨て札となります。その後でサイコロを振り、二つ目のカウンターを置く機会を、通常通り与えられます。

例: Zilly Zocker はテーブルの"2"の場所にカウンターを置くことにしました。そうするために、"2"の幸運カードを使い、カウンターを置きます。使った"2"の幸運カードは捨て札になります。続いてサイコロを振り、別のカウンターを置きます。

残りのカードの説明はまた後で。



テーブル移動

テーブルを代えることにした場合は、単純に自分の手番に、自分の駒を新たなテーブルに移動させます(まだ精算が行われていない、金貨が置かれているテーブルに限る)。駒の移動は一手番を全て消費します。つまり、カードも出せなければサイコロも振れません。



Mary Chip

Mary Chipはどうやって動くのでしょう? 誰かプレイヤーが1を振ったら、そのプレイヤーはまず自分がいるテーブルの対応する場所にカウンターを置きます。そのあと、Mary Chip像をトラックに沿って一マス進めます。 Mary Chip は幸運と不幸を運ぶ者として、等しく愛されまた憎まれます。



テーブルの精算

ケース1
Mary Chip がどこかのテーブルの先頭(金貨が置いてある)に到着したら、即座にそのテーブルは精算に入ります。そのテーブル上に置かれているカウンターの数が最も多いプレイヤーが金貨を獲得します(説明書六頁の例では、ピンクが"6"の金貨を獲得します)。

ケース2
テーブル上の全ての場所がカウンターで埋まった場合にも、そのテーブルの精算を行います。上記と同様、テーブル上に置かれているカウンターの数が最も多いプレイヤーが金貨を獲得します。

テーブルを精算したら、そのテーブル上のカウンターは持ち主に返却されます。いちど精算をしたテーブルには、カウンターを置くことはできません。

精算が行われたら、プレイヤーの手番は即座に終了します(まだサイコロを振っていないとしても)。精算が行われたテーブルの脚のところに自分の駒を置いているプレイヤーは、必ずテーブルを移動しなければいけません。



ゲームの終了

Lothar Link も cool Hilda も、他のプレイヤーもみんな、Mary Chip が14番目の、つまり最後のテーブルにたどり着いて、最後の金貨が誰かのものになって、はじめて椅子に座ってリラックスできるわけです。全員、自分の金貨の価値を足しあわせましょう。合計値が最も高いプレイヤーの勝利となります。



◆ご質問は?◆



テーブルの精算


・精算時に、複数のプレイヤーがテーブル上に同じだけのカウンターを置いていたらどうなりますか?

この場合、要するにタイの場合ですが、テーブル上より小さい番号の場所にカウンターを置いているプレイヤーが金貨を獲得します。説明書七頁右の例では、ピンクが"6"の金貨を獲得します。

大きなテーブル(二列とか三列あるような)で、この規則を用いてもまだタイの解決ができないのであれば、金貨は誰のものにもならず、廃棄されます。カウンターは通常通り戻されます。

説明書七頁左の例では、ピンクと青とが、同じ番号の場所にカウンターを置いていてタイになっています。緑は考慮に値するほどのカウンターを置いていません。ということで、みんな手ぶらで帰ります。


・テーブルの精算後も手番を続けられますか?

続けられません。



カード


・どんな種類のカードがありますか?

各プレイヤーはカードを10枚持っています。フロントマンカード3枚、幸運カード6枚、 Mary Chip カード1枚です。


・いつカードを出すのですか?

サイコロを振る前にしか出せません。使ったら即座に捨て札になります。


・一手番にカードを二枚以上使えますか?

一手番にはカードを一枚しか使えません。続いて金のサイコロを振ることはできます(普通は)。


・ Mary Chip カードを出したら何が起こるのですか?

このカードも他と同様、サイコロを振る前に出さなければいけません。このカードを出したら、 Mary Chip 像が一マス進みます。どこかのテーブルで優位を保っていて、 Mary Chip を動かせばそのテーブルで精算を起こせる、というような場合には特に有用です。 Mary Chip カードを使った後で精算が起きなければ、通常通りサイコロを振ります。


・フロントマンカードを出したら何が起きるのですか?

他と同様、フロントマンカードもサイコロを振る前にしか出せません。フロントマンカードを出すと、自分の駒がいるテーブル以外ならどのテーブルでも一つ選び、そうしたらサイコロを振って通常のルール通りにカウンターを、選んだテーブルに置きます。



Mary Chip

・ Mary Chip はどのように進むのですか?

Mary Chip が進む方法は二通りあります。1を振るか、 Mary Chip カードを出すかです。"6"の幸運カードをジョーカーとして使う場合に(下記参照)、カウンターを"1"の数字の場所に置いても、 Mary Chip は動きません。


・ カウンターが全く置かれていないテーブルに Mary Chip がたどり着いたらどうなりますか?

Mary Chip がカウンターの置かれていないテーブルに到達したら、そこの金貨が廃棄されます。



テーブル


・すでに精算が行われたテーブルに Mary Chip が到達したらどうなりますか?

この場合、 Mary Chip はそのテーブルを飛ばして、即座にトラック上の次の位置まで移動します。


・テーブルに"6"の番号の場所がない時はどうするのですか?

このようなテーブルでプレイヤーが6を振った場合(あるいは6の幸運カードを出した場合)、自分のカウンターをそのテーブルのどこに置いても構いません。これで相手のカウンターを弾き飛ばしたりするというのなら、それは相当汚いやり口ですね。


・いくつかのテーブルに、数字が二つ書かれた場所があるんですが、これは何の意味があるんですか?

そういうテーブルでは、二つの数字のどちらが振られた場合でも、その場所を占拠することができます。



カウンター


・カウンターはどこに置けるのですか?

自分の駒があるテーブルにしか置けません(例外:フロントマンカード)。


・一つの場所に複数のカウンターを置くことはできますか?

できません。


・プレイヤーが自分のカウンターを全部使い切ってしまったらどうなりますか?

カウンターを使い切ったプレイヤーは、以下のうち一つを行えます。

a. Mary Chip カードを使う(まだ持っていれば)
b. テーブルを移動する
c. カウンターが戻ってくるまでパスする

カウンターを使い切ってしまうかもしれないわけで、あんまり大きいテーブルにばかり集中するのはお勧めできません。



手番の終了


・手番はいつ終了しますか?

どのような場合でも、通常のサイコロ振りとカウンターの配置が終われば、手番は終了します。また、カードを出したことでテーブルの精算が起きた場合も手番は終了します。この場合通常のサイコロ振りは行えません。


◆◆◆◆



発展ゲーム

玄人のプレイヤーというのはそう易々とテーブルから弾き出されたりはしないものなのです。このことを表すために、先ずは決闘賽のルールから。


決闘賽

挑戦者の Harry Gambler が"2"の幸運カードを使いました。自分のカウンターを、既に"2"の位置に置かれている相手方のカウンターに重ねて置きます。これは、 Harry がどのカウンターを差し替えたいか示しています(サイコロで2を振った場合も同じようにします)。

ここで、双方のプレイヤーは決闘賽をひとつ取って、自分の手の中に隠し、三つのシンボルのうち一つを選びます。双方のプレイヤーは同時に自分のサイコロを公開します。勝者は自分のカウンターをテーブルに残します。敗者は自分のカウンターを撤去します。


誰が勝つのか?

・ 2H は 1H に勝ちます
・ 3H は 2H に勝ちます
・ 1H は 3H に勝ちます


・双方とも 1H の場合は、双方のカウンターが共に撤去され、場所が空きます。
・双方とも 2H の場合は、双方のカウンターが共に撤去され、場所が空きます。
・双方とも 3H の場合は、防御側が勝ってカウンターを残します。


Harry Gambler は挑戦者なので、相手は 3H を選んで引き分けの場合もカウンターを残しておけるようにしようとするだろう、ということを知っています。というわけで Harry は 1H を選びます。ですが相手はさらに少し先を読んでいて 2H を選んでくるかもしれません。 Harry Gambler は代わりに 3H を選ぶべきなのでしょうか?




謝辞

VEGAS に至る過程で幾度もテストプレイを行ってくれた、 John Christian, David Farquhar, Martin Higham, Kevin Jacklin そして Chris Lawson に格別の感謝を。

Illustration: Stephanie Delfmann, Alfons Kiefer
Design: Packaging Island/Ravensburger
Photo: Clive Davis
English Translation: Reiner Knizia and Kevin Jacklin

(C) 1996 Ravensburger Spieleverlag

Ravensburger Spieleverlag
Postfach 1860
D-8818 Ravensburg
Germany


日本語版について

この文書は Reiner Knizia 作 "VEGAS" ルールブックの日本語版で、Knizia博士及び Kevin Jacklin 氏による英語版からの重訳です。日本語への翻訳は沢田大樹が、両氏の許可を受けて作成し公開しています。日本語版の著作権は、英語版の制作者であるKnizia, Jacklin両氏が保持するものとします。

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