古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 元老院議員 Senator

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

2(または3)人用/10分

元老院は常に、ローマで最も強い政治権力でした。貴族の家系の代表はそこで、共和国の繁栄を確保するのみならず家系の私的な権益を保障できる方向に、国家の政策を操っていたのです。

元老院議員」では、有力な二つの家系が元老院の主導権を巡って争います。プレイヤーは両方とも、家系の人間を表すカードを自分の前に表にして並べ、このカードを交互に、ゲーム盤端の階段のマスに押し出していきます。前から出されていたカードはずらされて、ゲーム盤の内側の、元老院が位置する場所に移動します。両プレイヤーの目的は、家系の人間を操って、ゲーム盤中央の、権力の座に就かせることです。

用具

ゲーム盤の他に、赤と青のそれぞれ1〜10の数字カード、そして黄色の旗印カードが一枚必要です。

準備

ゲーム盤は横の列が五列と縦の列が五列で、合計21マスから構成されています。中央の九マスは元老院を表しています。盤の外側に位置する12マスは端が切れていますが、この12マスは階段を表しています。この階段を通じてしか、元老院に到達することはできません。

片方のプレイヤーが赤の家系になり、家系の人間を表す十枚のカードを自分の前に表を向けて置きます。もう片方のプレイヤーは青のカードを取って、同じようにします。どちらから始めるか決めます。

ゲームの流れ

最初のプレイヤーがゲームを始める前に、もう片方のプレイヤーが、旗印カードをゲーム盤上の好きなマスに表を向けて置きます。旗印カードは基本のゲームでは特に意味はありません。単にゲーム盤の21番目のマスを埋めるというだけです。

交互に手番を行います。手番のプレイヤーは自分のカードを一枚選び、ゲーム盤周縁の階段のマスへと外側から随意に押し込みます。ゲーム盤のいずれの縁から押し込む場合も、押し込む方向と同じ向きの矢印が示された五つの階段にのみ入れることができます。ゲームの流れの中で、カードをどの方向からゲーム盤に入れるのかも重要になってきます。従ってプレイヤーは、自分の手番に、12ある階段マスのうちの一つにカードを入れる選択肢を20持っていることになります。

家系の新たな人間を押し込もうとしている階段マスに、既にカードが入っていた場合、元々あったカードは、カードを押し込んだのと同じ方向で、隣のマスに押しやられます。そのカードがまた別のカードを押しのけた場合、押しのけられたカードがまた一つ先のマスに追いやられ、以下同様に処理されます。基本原理として、一つのマスには一枚のカードしか存在できないのです。

いったんゲーム盤上の一列全部がカードで埋まったら、その列にはもうカードを押し込めません。カードを押しやってゲーム盤の向こう側に落とすことはできません。

勝利条件

全てのカードが出され、盤上の全てのマスが埋まったら、ゲームは終了します。両プレイヤーとも、盤中央九マスの元老院の中にある自分のカードの値を合計します。階段にとどまっているカードは政治的影響力を持たないので、勘定に入れません。合計値の高いほうのプレイヤーが元老院を支配し、ゲームに勝利します。

旗印カードの特別な機能

旗印カードは、いくつもの刺激的な変形ルールの基となります。

ゲーム終了時点で元老院の中にいるカードのうち、旗印カードと同じ縦列または横列に存在するもの全て、値を倍にすると決めておくこともできます。旗印カードはカエサルと彼の影響力を表します。

ゲームは行方がなかなか決まらなくなり、また濃密で変化に富んだものになります。カエサルに近づこうとする熱狂的な闘争は、熱の入りすぎた多くの代表者たちを元老院から押し出してしまうことでしょう。是非ともこの変形ルールを試してみてください!

もうひとつ考え得る方法は、旗印カードと同じ列にいるのであれば、階段上のカードも得点に加えるというものです。ここに至って、元老院へと続く階段の上でも、権力を巡る争いが始まることになります。このルールと、中央における旗印カードによる倍増効果を併せて、さらなる変形ルールとすることもできます。

逆に、旗印カードに無力化の機能を割り振ることもできます。この場合、旗印カードと同じ列に置かれたカードは得点に数えません。旗印カードはブルータスであり、皆が彼を遠ざけるのです。この破滅的なルールでは、家系の多くの人間は、最終的な得点にまでたどり着けません。

旗印カードの特別な機能は、直に隣接するマスに対してのみ適用するようにするだけで、もっと多くの変形ルールを作ることができます。この効果は、得点倍増や階段上のカードへの追加得点、また個々のカードの無力化などと重ねて採用できます。あなたの想像力に限界はありません!

隠匿ゲーム

真の権力ゲームは公然とではなく、裏で秘密のうちに行われるものです。「元老院議員」では、これを実現することもできます。

ここでは、プレイヤーは自分のカードを手札として持ちます。旗印カードは最初から、ゲーム盤に裏向きの状態で置いておきます。それ以降のカードも、ゲーム盤上に裏を向けて押し込んでいきます。ゲーム中のどの時点でも、これらの中身を覗いてはいけません。ゲーム終了時点ではじめて全てのカードが表にされ、家系の本当の力が明らかになります。これによってゲームの基本戦術に記憶の要素が加わります。

元老院議員」の三人ゲーム

元老院議員」のゲームの原理は、三人目のプレイヤーを入れて拡張することが可能です。この場合、各プレイヤーはそれぞれ一色の数字カード1〜7を受け取ります。

旗印カードは脇に置かれ、ゲームには使用されません。その他の点ではゲームは通常通りに進行します。元老院で最も良い結果を出したプレイヤーが勝利します。

相手となるプレイヤー両方の強さを評価して、それに従って行動することが必要になってきます。同盟は変遷し、同情がゲーム上で役割を持ち、そして不正や軋轢が発生します。これこそが真に権力と干渉のゲームなのです。