古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / ハンニバル対ローマ Hannibal gegen Rom

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

2人用/10分

第二次ポエニ戦争において、ハンニバルは良く知られているようにイタリアへの遠征を行い、象と共にピレネーそしてアルプスを越えます。 "Hannibal ante portas!" (門前にハンニバルが!)という言葉がローマでは恐怖の表現になり、カンネーにおける敗戦はローマ人にとって暗黒の一日となりました。時の流れと共に、ローマの司令官スキピオは、戦線をイタリアからスペイン、そしてアフリカへと移動させることに成功します。ザマの戦いで、最終局面がローマ優位に決しました。カルタゴは敗れたのです。さもなくば、今日の世界は全く違った様相を示していたことでしょう。

ハンニバル対ローマ」では、この時代に起きた出来事に迫ります。片方のプレイヤーはハンニバルカルタゴ人を指揮し、もう片方はローマ人の役になります。ゲーム盤は西地中海域を、いくつもの区域に分けて示しています。互いの軍団と艦隊がゲーム盤上を動きます。戦闘はカードを使って解決します。以上により、地中海域の主導権が決せられるのです。

用具

同梱のゲーム盤と、赤青それぞれ1〜5の数字カードを使用します。加えて、ポーンが赤青各三つ、カウンターが赤青各七つ必要です。ポーンは艦隊を、カウンターは軍団を表します。

準備

ゲーム盤は二人のプレイヤーの間に置きます。古のローマの時代における西地中海域が描かれています。地域が11あり、五つの海路がそれぞれ地域を二つずつ繋いでいます。

片方のプレイヤーが青のローマ人を導き、もう片方のプレイヤーが赤のカルタゴ人を担当します。両者とも、自分の色の1〜5の数字カードを取って手札とします。

ローマ側は、青の軍団を七つ受け取ります。この軍団はゲーム開始時にはローマ(ROME)にいます。加えて青の艦隊三つを取って、こちらはローマとコルシカ(CORSICA)を繋ぐ海路に置きます。

カルタゴ側は自分のカウンターのうち二つを積み重ねて、特別にハンニバル軍団を作ります。このハンニバル軍団はゲーム開始時にはカルタゴ (CARTHAGO)にいます。この二つのカウンターはゲーム中ずっと繋がったままで、一つの駒として扱います。さらに、カルタゴ人担当のプレイヤーは通常の赤の軍団五つを受け取ってカルタゴに置き、加えて赤の艦隊三つを取りカルタゴサルディニア(SARDINIA)を繋ぐ海路に置きます。

ゲームの流れ

ローマ側からゲームを始めます。その後は最終的にどちらかがその欲する結果を得るまで、両者が交互に手番を行います。

手番のプレイヤーは、必ず自分の軍団または艦隊一つを移動させないといけません。対立する両軍団が同一の地域でぶつかった、あるいは対立する両艦隊が同一の海路でぶつかった場合、戦闘が起きます。戦闘はプレイヤーが持っている手札を使って解決します。以上でプレイヤーの手番は終了となり、相手が次の手番を行います。

手番における二つの活動、つまり軍団か艦隊の移動と戦闘の解決ですが、これを次に説明します。

軍団または艦隊の移動

軍団は隣接する地域へしか移動できません。ふたつの地域が、自軍の艦隊が置かれている海路一本で繋がれている場合、軍団はその海路を渡って向こう側に行くことができます。

カルタゴ側のハンニバル軍団は、直に隣接する地域にしか移動できません。ハンニバルの象は地中海上の三島には渡れないのです。

艦隊は制限無しに、ある海路から別の海路へと移動できます。

戦闘の解決

プレイヤーが自分の軍団を、既に相手の軍団が一つ以上置かれている陸上地域に移動させた場合、戦闘が起きます。戦闘はカードを使って解決します。

両者とも手札から一枚んで同時に公開します。相手より低いカードを出したプレイヤーは、係争地域から自分の軍団を一つ取り去り、ゲームから除去しないといけません。使用した二枚のカードは裏を向けて脇に置きます。

争われている陸上地域にまだ両者の軍団が残っているために戦闘が終息しないという場合、同様の方法で戦いを続けます。それぞれのプレイヤーが新しいカードを一枚ずつ選び、同時に公開し、低い方を出したプレイヤーはまた軍団が一つゲームから廃棄され失われます。この手続きは、該当地域に残っている軍団が全て一方のものとなるまで繰り返されます。

同点の場合、つまり両者が同じ値のカードを選んだ時ですが、この場合は両者とも争いが起きている陸上地域から軍団を一つ取り除きます。使ったカードは裏を向けて脇に置きます。

五回の戦闘でプレイヤーが手札を全て使い切ったら、捨てられていたカードを取って新たに手札とします。両者とも再び、今後の戦闘のために1〜5の全カードを自由にできるわけです。

また、プレイヤーが自分の艦隊を、既に相手の一個以上の艦隊によって占拠されている海路に移動させた場合も、戦闘が発生します。この戦闘は、軍団同士の戦闘と同様の処理で解決します。従って、やはり戦闘はその海路に片方しか残らなくなるまで続きます。

ハンニバル

ハンニバルが関る戦闘では、特別なルールが適用されます。

戦闘の開始時、戦闘が行われる陸上地域にハンニバルが他のカルタゴの軍団と一緒にいた場合、カルタゴ側のプレイヤーはどちらの軍団が戦うのか宣言しなくてはいけません。その陸上地域にいるカルタゴ側の軍団がハンニバル軍団だけだった場合は、自動的にハンニバル軍団が敵と戦うことになります。

ローマ軍団とハンニバル軍団が戦うときは、カルタゴ側のカードの値に1を加えます。カルタゴ側が負けたか同点だった場合、ハンニバル軍団はゲームから取り除かれます。しかしハンニバルが勝ち続けている限りは、カルタゴ側はハンニバル軍団を使いたいときに使うことができます。

勝利条件

ゲームの決着をつける方法は以下の四通りあります。

1.片方のプレイヤーが自分の軍団を相手の首都に進入させることができたら、ゲームは直ちにそのプレイヤーの勝利をもって終了となります。首都防衛戦は行われません。

2.片方のプレイヤーが自手番の終了時に地中海地域を支配していた場合も、そのプレイヤーの勝利をもってゲーム終了となります。

ローマ側のプレイヤーが地中海地域を支配しているものと見なされるのは、サルディニアに一つ、北ヒスパニアモーリタニア(MAURETANIA)に一つ、そしてザマかシシリアに一つ、自分の軍団を置いている時です。カルタゴ側のプレイヤーに要求されるのは、コルシカに軍団一つ、北ヒスパニアガリアに軍団一つ、そしてシシリアかカンネーに軍団一つです。

3.片方のプレイヤーが軍団を全て失ったら、そのプレイヤーの負けとなります。両者が同時にこの状態に陥った場合、ゲームは勝者無しで終了となります。

4.片方のプレイヤーが自分の手番に駒を動かすことができなかったら、そのプレイヤーの負けとなります。相手側も次手番には駒を動かせないであろうことが確実だったとしても、負けに変わりはありません。

シリーズ

ゲーム盤はゲーム的に見て対称なのですが、ハンニバル軍団の存在がこのゲームに非対称性を与えています。一回ごとに役割を交換しながら、どちらかのプレイヤーが二回連続で勝利するまで、ゲームを複数回繰り返して行っても構いません。

中核部の支配

ハンニバル対ローマ」には追加で、地中海地域の支配を巡る闘争と時間的な圧迫をさらに増強する、五つ目の勝利条件を加えることができます。このルールでは追加でチップが八つ必要になり、これはゲーム開始時にはゲーム盤の脇に置いておきます。

地中海上の三島と南北ヒスパニアで、ゲーム盤上の中核五区域が形成されます。ある一中核地域に片方のプレイヤーが軍団を置いているか、あるいは自分の軍団がそこを通過してさらに敵の首都側に置かれているとき、その中核地域は当のプレイヤーの支配下にあると見なされます。

自手番の終了時に中核五区域のうち三つを支配していたら、そのプレイヤーはチップを一枚受け取ります。このとき、相手プレイヤーは自分の持っていたチップを全てゲーム盤脇のストックに返却しなければいけません。

片方のプレイヤーが八枚のチップを獲得したら、切れ目ない優勢により、そのプレイヤーがゲームに勝利します。