古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 大競技場 Circus Maximus

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

2-5人用/45分

戦車競走はローマではとりわけ人気がありました。円形の大競技場は、喚き喝采しながら競走を観戦する二十万もの観客を収容できました。馭者は色分けされたチームに分けられました。彼等の中には無数の競走を闘った者もいました。最も成功した者は、人々から英雄として崇められました。勝利の報奨は途方もないものでした。しかし危険も大きく、多くの者がその勇気の代価に命を失いました。

「大競技場」では、プレイヤーはそれぞれ戦車三乗によるチームを操ります。プレイヤーは全員五枚の走行カードを受け取り、これを個々の戦車に好きなように割り振ります。最初に自分の戦車三乗全てにゴールラインを割らせたプレイヤーがゲームに勝利し、大衆の称賛を浴びます。

用具

ゲーム盤を使用します。加えて、プレイヤーはそれぞれ一色、値が1〜5のカードを受け取ります。また同じ色のカウンターを三つずつ受け取ります。

準備

ゲーム盤を広げます。古代ローマの大円形競技場が描かれています。競走路の一角に、明色で示された開始位置が15マスあります。プレイヤーはそれぞれ五枚の手札を受け取り、自分の前に一列に晒します。また、自分の色の戦車を表すカウンターも三つ受け取ります。

戦車の整列

第一ラウンドの開始プレイヤーを選びます。各プレイヤーは時計回りに、空いている開始位置を一マス選んでそこにカウンターを置きます。そして第一ラウンドの最終プレイヤーから第二ラウンドを始めます。ここでは二つ目のカウンターを、第一ラウンドとは逆の順番で置いていきます。第三ラウンドも同様に、第一ラウンドと逆の順番で行います。そして競走が始まります。

ゲームの流れ

プレイヤーの目的は、自分の戦車三乗に競走路上を時計回りに走らせて一周させた後、盤中央にある明色で示されたゴール位置のうちの三つのマスに乗せることです。ゴール位置から馭者は輝かしき皇帝に拝礼を行い、そして競走に勝利します。

ゲームは何ラウンドかに渡って行われます。毎ラウンド、三乗の戦車全てが移動し、五枚全ての走行カードが使われます。プレイヤーはそれぞれの戦車にどの走行カードを使うか決めなければいけません。

各ラウンドにおける移動の順番は、戦車の位置に基づいて決まります。前を行く戦車が常に、後続の戦車よりも先に移動します。

移動の順序

各ラウンドの正確な移動順を決めるため、競走路を四つに分けます。長い直線の領域がふたつと、その二直線を繋ぐ暗色の継ぎ目領域が曲がり角にふたつ、以上の四領域です。

最初に、首位の走者を含む領域にいる戦車が移動し、次に、それに続く領域の戦車が移動し、以下同様に全ての戦車が移動するまで続けます。

長い直進路においては、一番前にいる戦車が最初に移動します。いくつかの戦車が同一線上に並んでいるとか、あるいはいくつかが同じ継ぎ目領域上に並んでいるという場合は、より中央に近いほうの戦車が先に移動します。

戦車の移動

自分の操る戦車が移動する順番になったら、プレイヤーはどの走行カードをその戦車に割り振るか決めなければいけません。

これを行うには、まず自分のカードの列から一枚選んで自分の側に引き寄せます。続いて選んだカードの数字ぶんだけ、一マスずつ声をあげて数えながら、戦車を動かします。戦車はどの方向にでも動かせますが、しかし必ず直進しなければならず、また空いているマスしか通過もできません。カードに書かれている移動歩数は使い切らないといけません。

このあとプレイヤーは二枚目のカードと、あるいは三枚目のカードも選び、同様の処理を繰り返すことができます。戦車一乗につき最大で三枚のカードを使用できるのです。移動の方向はカードごとに変えることができます。逆進しても構いません。

この戦車の移動を終えたら、使用したカードを全てひっくり返します。従ってこれらのカードは伏せた状態になります。それぞれのラウンドにおいて、一枚のカードは一乗の戦車に対してしか使えないのです。

そして移動順が次に来る戦車のプレイヤーがそれを動かし、同様に続けていきます。

それぞれの戦車には走行カードを最低でも一枚ずつ割り振らないといけません。従って、三乗目の戦車のために少なくとも一枚は残しておく必要があります。動かしたくないまたは動かせない戦車があった場合は、カードを一枚裏返さなければいけないのです。このときプレイヤーは、カードに示された歩数を全て使い切るか、あるいは一切使わないか、どちらかを選ばなければいけません。歩数を部分的にのみ消費するということはできないのです。ラウンド中に使用しなかったカードは捨て札になります。

次のラウンド

全員が自分の戦車三乗を移動させたらラウンドは終了となり、次のラウンドが始まります。プレイヤーはそれぞれ自分のカードを全て表に戻して、自分の前に一列に並べます。移動はやはり首位の戦車から始めます。

ゲームの終了

全てのプレイヤーの目的は、自分の戦車三乗を競走路上で時計回りに走らせて一周させた後、ゲーム盤中央にある明色で示されたゴール位置、そのうちの三つのマスにそれぞれを乗せることです。

ゴールのマスには、薄いほうの境界線からしか進入できません。戦車がゴール位置のうちのいずれかのマスに到達したら、残っている歩数は廃棄され、そしてその戦車はそれ以上動けなくなります。以降のラウンドでは、この戦車にはカードを割り振りません。

自分の三乗の戦車全てを最初にゴール位置に乗せたプレイヤーが、ゲームに勝利します。他のプレイヤーは、ゴール位置が全て埋まるまで続けても構いません。そしてゲームは終了となります。

別の競走方法

複数のカードを使ったときであっても戦車の移動は途切れなく一直線でなければならない、という要求を容れると、ゲームは更に難しいものになります。二枚のカードの間で移動方向を変えたい場合は、カードを一枚余計に捨て札にしなければいけません。曲線上での移動は遅くなり、歩数の大きいカードは直線でしか役に立たなくなるでしょう。

6の数字カードをゲームに加えることもできます。ゲームはより速く動くようになり、そして慎重な考慮を要する新しい戦術的可能性が存在するようになります。

六枚の走行カードを使って、新しいルールを導入することができます。各戦車には走行カードをちょうど二枚ずつ割り当てなければいけない、というものです。こうなると戦車の速度はより一定し、そして後ろに下がった戦車が追いつくのは更に厳しくなります。