古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / スパルタクス Spartacus

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

3-5人用/10分

ローマが拡大する中で、多くの教養ある、また元々は自由の身だった市民が奴隷の身分となりました。そしてローマ革命期には奴隷の蜂起が頻発しました。ローマにとって最も危険だったのは、トラキア人剣闘士スパルタクスに率いられた、紀元前74年〜71年の蜂起です。スパルタクスはその絶頂期には十万人以上の兵力を有し、ローマの軍団に対して驚くべき成功を挙げました。しかし最後には、ローマ人は彼を打ち負かし、反乱者は故郷へ帰る望みを絶たれたのです。

スパルタクスは簡単なカードゲームで、ここでは低い値が高い値に勝ちます。各プレイヤーは開始時に同じカードの組を受け取ります。カードの値は、ローマ住民間の様々な階層を表します。各プレイヤーは順番に、より低いカードを連続的に出していきます。最も低いカードを出したプレイヤーが、出された全てのカードを獲得します。数ラウンド行った中で、獲得したトリックの価値が最も高いプレイヤーが勝者となります。

用具

それぞれのプレイヤーごとに、一色1〜10の数字カードと、同じ色の旗印カード一枚が必要です。得点の記録用に、メモ帳も必要になります。

準備

ゲーム開始時に各プレイヤーは、一色により構成される、1〜10の数字カードおよび旗印カード一枚を手札とします。メモ帳を区切り、各列の先頭にプレイヤー名を記入します。誰からゲームを開始するか決めます。

ゲームの流れ

このゲームは個々のトリックを通じて進行します。最初のプレイヤーが手札から任意のカードを出し、それからゲームを時計回りに進めていきます。

まだ旗印カードしか出されていなければ、プレイヤーは自分の手札であれば何でも構いませんが、一枚のカードを出さなければいけません。

ひとたび数字カードが出されたら、プレイヤーができることは以下の二つにななります。一つ、より低い数字カードまたは旗印カードを出す。二つ、パスをする。パスをしたプレイヤーは、そのトリック中はもうカードを出せません。

カードを出すという行為は、様々な階層の住民の間で起こる、権力を巡る闘争を象徴しています。このゲームは奴隷の叛乱を扱っているので、低いカードが強いのです。

どのプレイヤーも、現在のトリックにおいて出されたカードを確認できます。このトリックにおいて誰かが出したカードが、そのプレイヤーの次の手番が回ってきた時点でなお最強カードである、という状況になるまで、トリックは継続します。これはつまるところ、他のプレイヤーが全員パスすることでトリックが終了するということを示しています。

最終的に一番低い数字カードを出したプレイヤーがこの蜂起において勝利したということになり、トリックの全てのカードを獲得します。これは、一番低い数字カードの後に旗印カードが出されていた場合でも変わりません。この場合でも、トリックのカードは最後の数字カードを出したプレイヤーのものになります。この勝ち残ったプレイヤーは、獲得したカードを裏にして、独立した山にして自分の前に置きます。

時計回りに見て勝者の次に位置するプレイヤーが、手札から任意のカードを出して新たなトリックを開始します。この方法により、全てのプレイヤーがゲーム中に同じ回数の手番を行うことになります。

同じ方法で、以降の各トリックを行っていきます。得点精算のために、勝ち取った各トリックはそれぞれ別個に積んでおくよう気を付けてください。

ゲームの終了と精算

誰か一人が手札を出し切ったら、ゲームは終了します。その時のトリックは、その時点までで最も低い数字カードを出したプレイヤーのものになります。最後のトリックに旗印カードしか出されていなかった場合、このトリックは誰のものにもなりません。

ここで得点計算が行われます。各プレイヤーはトリックによって獲得した得点を合計します。個々のトリックにおける数字カードの値を足し合わせます。旗印カードは一枚入っているごとに、そのトリックの合計の価値を倍にします。従って、旗印カードが二枚入っていれば四倍に、以下同じように計算します。これらの得点は、メモ帳の各プレイヤーの欄に記載しておきます。

手札に残したカードの値は、プレイヤーの総得点から減算されます。手に旗印カードを持っていたら、そのプレイヤーへの罰符が同様に二倍されます。

合計点の最も高いプレイヤーがゲームに勝利し、奴隷蜂起の成功を決定付けることとなります。

シリーズ

スパルタクス」は時間のかからないカードゲームで、繰り返し遊ぶのに適しています。ローマ革命の時代は、連続的に起こる叛乱の繰り返しとして見ることもできるのです。

この場合、個々のゲームの得点を続けて記録していきます。連戦の終了時に、得点総計が最も高いプレイヤーが勝利します。

旗印カードをジョーカーとして使う

直前に出されたカードより少しだけ低いカードが常に存在するように、旗印カードの機能を変更してジョーカーとして使っても構いません。これで1は、自動的にトリックを獲得できるゲーム最強のカードではなくなります。ジョーカーは別の既に出されたジョーカーよりもさらに強い切り札として働きます。トリックは最後に出されたカードが持っていきます。それが旗印カードであったとしても。

ジョーカーは非常に強力なカードです。しかし、最後の精算時にはジョーカーは得点になりません。また、トリックの中身あるいは手札の中にジョーカーが一枚入っているごとに、10点が減点されるようにするということも可能です。ジョーカーの入ったトリックは全て無価値になるとすれば、ゲームはさらに過激なものとなるでしょう。少なくとも良いトリックを手に入れるための新しい戦術が必要になります。

旗印カードを使わない

別の変化形としては、ゲームから旗印カードを取り除くというものがあります。こうするとトリックの価値が早く見積もれるようになるので、ゲームの予測可能性が高まります。ですがここでは、多くの犠牲を払うことなく相手を抑えるために、出すべき正しい値のカードを見いだす必要が生じてくるのです。