古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / カテリーナの陰謀 Die Verschwoerung des Catilina

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

3-5人用/45分

カテリーナの陰謀は、ローマ革命期における共和制の崩壊過程を示す一例です。紀元前64年の執政官選出選挙でキケロに敗れたカテリーナは、政変を企てました。しかしこの企みは表出し、そして前63年の11月8日、カテリーナも出席する元老院で、キケロは秘密にしていた計画を明らかにしました。カテリーナは追放処分となり、陰謀の主導者は罪状が暴かれ有罪判決を受けました。

以下に記す推理ゲームは、カテリーナの陰謀を暴き出す過程を再現するものです。カードはこの時代の様々な著名人を表します。反逆者はこの中にいるのです。カードはシャッフルして何枚か抜き取り、残りをプレイヤーに配ります。プレイヤーは互いに質問していくことで、抜き取られたカードとして示される陰謀者を特定しようと試みます。論理的な推論を導くことが、成功への鍵となります。陰謀者全員を最初に正しく特定し、宣言したプレイヤーがゲームに勝利します。

用具

五色それぞれ1から6までのカードを使用します。加えて、各プレイヤーにメモ帳と鉛筆がひとつずつ必要です。

準備

はじめに、30枚のカードを各色毎に分けて、五つの山にします。それぞれの山を別々にシャッフルして、そのあと各山からカードを一枚ずつ抜き取り、伏せて脇に置きます。この各色一枚ずつ抜き取ったカードが、陰謀者となります。残った25枚のカードは一緒にシャッフルします。

三人ゲームや四人ゲームの場合は、この時点でもう一枚余計に抜き取り、陰謀者を六人とします。この五枚ないし六枚の陰謀者カードはゲーム終了まで、間違いの無いように脇に退けておいてください。

残りのカードは各プレイヤーに同じ枚数ずつ配ります。全員自分のカードを手札に持ち、中身を見られることのないようにしましょう。そして誰から開始するか決定します。

陰謀者の捜索を開始する前に、各プレイヤーとも自分のメモ帳の上に情報シートを作っておくべきでしょう。結論を引き出すためにゲーム中集めた情報は、ここに記しておくことができます。また、これも重要なことですが、プレイヤーが自分のシートに書いた情報は秘密にしておきます。

情報シート

自分の情報シートは自分の好みに従って作りましょう。以下のシステムは効果的だとされています。

カードの数だけ枠を用意します。この枠の中に、対応するカードの情報を記録します。個々の数字を横列に組み、色は縦列に取ります。縦横各列の末尾には、その列の色や数値全体の情報を記すため、一つ余分に枠を作ります。全ての欄に、他プレイヤーを表す記号を記入します。

ゲームの流れ

プレイヤーは交替で質問を行っていきます。各プレイヤーは、特定の一色、あるいは特定のひとつの数字の有無について、質問を一つ行います。質問先は、以下に述べる二通りから選ぶことができます。

ひとつめの方法では、一人のプレイヤーに質問を向けます。質問を受けたプレイヤーは、質問に合致する手札を全て、裏を向けて質問者に渡します。同時に渡したカードの枚数を宣言します。質問者はカードの中身を調べることができますが、その後伏せて持ち主に返却しなければいけません。

もうひとつの方法では、質問を全てのプレイヤーに向けます。どのプレイヤーも、質問に合致するカードを持っているのであれば、そのうち任意に一枚選んで手渡します。合致するカードがない場合、そのことを全員に宣言してください。質問者はカードの中身を全て調べてから、所有者に返却します。

質問を行い、カードを受け取って中身を調べ、そして返却したら、次のプレイヤーが新たな質問を行う番になります。

情報シートへの記入

情報シートへの書き込みはいつでも行えます。前述したようなシステムを使う場合は、書き込みは以下のようになるでしょう。

ゲーム開始時に、情報シート上、自分が持っているカードの欄には大きく丸を付けます。同時に、その欄に書かれている記号は全て塗り消しておきます。

あるプレイヤーが、特定のカードを持っていないということが確実になったら、情報シート上の該当する欄にある、そのプレイヤーの記号を消します。逆に特定のカードを持っているとわかったなら、所有者の記号を丸囲みし、他の記号を全て消すことによって、その欄に印を付けます。

各縦列と横列に余計に付けられた枠には、それぞれの色または数字についての、各プレイヤーの目下確認できている所有枚数を記録しておきます。誰かの所有枚数が間違いなく立証されたら、その枚数を丸囲みして、それが真の所有枚数であることを示しておきます。

あるカードについて、誰もそのカードを持っていないという結論に達したら、陰謀者を発見したことになります。対応する枠全体を塗りつぶします。成功への一歩を踏み出したわけです。

告発とゲーム終了

ゲームの目的は、なるべく早くカテリーナの陰謀を暴くことです。全陰謀者カードの数字の合計を最初に正しく宣言できたプレイヤーが勝者になります。これを行うためには、各陰謀者を個別に決定していく必要があるでしょう。ですが、時間的余裕がない場合は推測によって告発することもあるでしょう。

プレイヤーはいつでも、告発を行うためにゲームを中断して構いません。告発者は、陰謀の容疑者のカード全ての数字の合計値を宣言します。個々の容疑者カードについて宣言する必要はありません。その後で告発者は陰謀者の山を手に取り、告発が正しいかどうか確認します。

告発が正しければ、告発したプレイヤーがゲームに勝利します。

しかし告発が誤りであった場合は、陰謀者の山を、元の伏せて置かれていた場所に戻さなければいけません。このとき、陰謀者に関する情報を公開してはいけません。ゲームはそのまま続行します。無罪のカードを誤って告発したプレイヤーは負けとなり、以降は質問も告発も行えなくなります。但し質問を受けることは可能です。"Si tacuisses, philosophus mansisses."(黙っていたなら、今なお賢く思われたであろうに)

告発を行っていない故に失格していないというプレイヤーが一人しかいなくなってしまった場合、そのプレイヤーは告発を行うことの無いまま自動的に勝利します。

カードを渡すことによる手札所有者の変更

調査終了時にカードを返却せず、質問をしたプレイヤーがそのまま持っておくことにすると、ゲームは全く違ってきます。この場合、直前の手番のプレイヤーが手に入れたカードの全てについて要求する、ということはできません。

各プレイヤーの所有するカードは絶えず変化します。ローマ市民は活動し続けるのです。これはあなたの論理学への新たな挑戦です。

個人の告発

この変形ルールでは、それぞれの陰謀者は単独で告発されます。ゲーム開始時に、最低十人の陰謀者を取り除いておきます。陰謀者を一人特定できたプレイヤーは、直ちに告発を行います。告発リストを記しておき、告発を受けたカードは、告発を行ったプレイヤーに独占的に割り振っておきます。

カードが十枚告発されたら、陰謀者を明らかにします。誤った告発を行っていたプレイヤーは全て敗者となり排除されます。残った中で、正しい告発を行った数の最も多いプレイヤーが勝者となります。