眩暈 Vertigo (Rodriguez and Pallieres)

By Sylvie Rodriguez (Sylvie Barc) and Philippe des Pallieres
Publisher : Eurogames
Translated by me through the courtesy of Ms Sylvie Barc.


プレイヤーは大国の主導者として、他国よりも早く自国を発展させようと競います。しかし急速な生産は環境汚染を導きます。ゲーム中は間違いなく、各国の汚染が地球全体の汚染度に影響し、同時に地球全体の汚染が各地域の汚染度に影響を及ぼします。中央の組織つまり国連は政治的会合の舞台となり、そこでは各国がパワー・ポリティクスを展開できます。




ゲームの目的

ゲーム終了時点で工場を最も多く建設していたプレイヤーが勝者となります。




準備

国連ボードをテーブル上に置きます。このとき、汚染されていない世界が画面に示されるようにしておきます。国連の金庫室に、「ゲーム参加者数×$25」だけの金銭カウンターを置きます。各プレイヤーは自分の色を選び、対応するゲーム盤と法カード、リファレンスシート、そして$40を受け取ります。四枚のゲーム盤にはそれぞれ三つずつ地域が描かれており、また一つの地域は10の州に分けられています。盤上にはまた、各国の財を保持しておくための国庫も描かれています。




ゲーム開始

開始プレイヤーを選びます。各プレイヤーは順番に、受け取った$40をどのように使用するか決定します。(従って、それぞれのプレイヤーが異なった状況からゲームを開始させることになります)

人口駒(生成りの色)一つにつき:$1
学士駒(色つき)一つにつき:$5
汚染源工場(黒)一つにつき:$5
無汚染工場(緑)一つにつき:$10
清浄化施設(青)一つにつき:$10

購入した駒は直ちに以下のいずれかに配置しなければいけません。

・自国の各地域:一つの州につき一つ、人口駒を置くことができます。各州の灰色の場所に置いてください。州に人が住んでいれば、そこに工場[または施設]を建てることができます。ただし工場[または施設]を建てるためには学士者駒が必要になります。汚染源工場一つにつき学士駒が1つ、無汚染工場は一つにつき学士駒が2つ、清浄化施設も一つにつき学士駒が2つ必要になります。これらの施設に配置された学士駒は「エンジニア」になります。

・国連:学士駒を国連中央の議場に置くことも可能です。この場合、学士駒は「外交官」となり、ゲーム中に提議される法案に対して投票を行えます。

学士駒は各地域の中央部(色がついている円形の場所)に置いたままにしておいても構いません。これらは後でエンジニアや外交官にできます。

使用していない金銭は全て自分の国庫に置いておきます。




ターン

前回のターンにおける最初のプレイヤーが、今回のターンにおいて誰が最初のプレイヤーになるかの決定権を持ちます。決定が行われたら、そのプレイヤーからから時計回りにゲームを進めます。

以下の5フェイズを、順番に行っていきます。ひとつのフェイズを全員が終えたら、次のフェイズを時計回りに全員が行う、という形で進めます。

ターンマーカーの移動と開始プレイヤーの決定
国の運営
 ・学士、エンジニア、外交官の維持
 ・学士の移動と配置
 ・工場の建設と改築
 ・地域の汚染除去
 ・人口の増加と移動
 ・学士の養成
汚染(増加及び減少)
生産
法案への投票




ターンマーカーの移動と開始プレイヤーの決定

最初のターンには、国連ボード外周の最初のマスに人口駒を置きます。それ以後のターンでは、その駒をひとつ先に進めます。第11ターンの開始時には、駒は「?」マスに到達しています。このターンおよびそれ以後のターンでは、コイントスを行います。表が出たらゲームは即時終了、裏がでたらとりあえずもう一ターン分は続行ということになります。(コインの代わりに汚染賽を使っても構いません。太陽の目がコインで言う裏を意味し、雪が表を意味します)

[開始プレイヤーの決定方法の記述無し。]




国の運営


学士、エンジニア、外交官の維持

各プレイヤーは自分の学士、エンジニアおよび外交官それぞれ一つにつき$1を支払います。外交官に関して支払った分は国連の金庫室に置かれます。支払いが行われなかった分の駒はゲームから取り除かれます。エンジニアのいなくなった工場は破壊されます。


学士の移動と配置

地域中央部(色つきの円)に置かれた学士に関しては、以下の選択肢があります。
・他の地域の中央部に移動させる
・国連に送りこむ
・同じ地域にこれから建てようとしている工場[または施設]へ配置する(「工場の建設と改築」参照)
学士の移動は全て無料ですが、各学士駒は一ターンにつき一回しか移動できません[英文「各エンジニアは」となっているがこれは誤植であろう]。エンジニアや外交官になってしまった学士は移動できなくなります。


工場の建設と改築

適切な額を支払えば、工場を建てたり改築したりできます。これを行うプレイヤーは、前もって(「学士の移動と配置」フェイズの時に)この目的で使用するエンジニアを指定しておかなければいけません。これらのエンジニアは、工場[または施設]を建設するのと同じ地域の中央部から来たものでなければいけません。
費用は以下の通りです。
・汚染源工場(黒):$5とエンジニア1つ
・無汚染工場(緑):$10とエンジニア2つ
・清浄化施設(青):$10とエンジニア2つ
・汚染源工場を無汚染工場に改築する:$5とエンジニア1つ


地域の汚染除去

もし地球全体の汚染度よりも地域の汚染度のほうが高い場合、その地域の汚染を軽減できます。各地域は10の州に分かれているので、一つの州が汚染されているごとにその地域の10%が汚染されているものと見なします。
例:ある地域は汚染された州を4つ抱えています。従ってこの地域の汚染度は40%です。地球全体の汚染度が20%である場合、汚染された州2つを清浄化できます。
清浄化の際の費用は国連の金庫室に支払われます。一つの州の汚染を除去するのにかかる費用は、同じ地域に清浄化施設が建設されている場合は$1です。同じ地域にはないが同じ国の違う地域には清浄化施設があるという場合、費用は$5です。清浄化施設が国に存在しない場合、国連が清浄化を行ってはくれますが、費用が州につき$10かかります。


人口の増加と移動

ゲーム開始時には人口駒の費用は一つ$1でしたが、いったんゲームが始まってしまうと、人口駒を場に持ってくるための費用はひとつ$5になります。新しい駒は直ちに任意の空いている州に(一州につき一駒)置かれます。同じ地域内ならば駒の移動は無料ですが、他の地域に移動させる場合は費用が$1かかります。人口駒の移動に関しては、地域中央部を介する必要はありません。


学士の養成

プレイヤーは新しく学士をつくることができます。これを行うには$5かかります。学士をつくれるのは人口駒が5つ以上存在する地域だけであり、また一地域一ターンにつき学士駒1つの割合でしかつくれません。この新しい学士は、その学士を生み出した地域の中央部に置かれます。(このルールは人口駒を学士駒に変える必要があるということを意味してはいません。人口駒に手を付けることなく、色つきの駒を単に持ってくるだけです)




汚染

汚染源は二つあります。黒の工場と、人口駒を5つ以上抱える地域とです。しかしこれらの汚染源は中和することができます。汚染源工場は無汚染工場に改築できますし、人口過多地域には清浄化施設を建てることで浄化を行えます。


汚染判定

各プレイヤーは自分の手番に、各汚染源工場および各人口過多地域(人口駒を5つ以上持つ地域)につき一回ずつ、汚染賽を振ります。最初に右側地域の汚染源について振り、次に中央、最後に左側地域、という順番で処理を行います。一つの地域の全汚染源について処理が解決されてはじめて、次の地域の処理に移ります。
汚染賽の目は4種類有ります。
・太陽:汚染は吸収されます。何も起こりません。
・黒い雪:その地域に汚染が現れます。汚染タイル(煙色の円弧型タイル)をひとつ、その地域の空いている州に置きます。
・黒い雪2つ:同上、ただし汚染タイルは2つ置きます。
・黒い雪と矢:他のプレイヤーの国の州に汚染が現れます。賽を振ったプレイヤーが、どの国に汚染が現れるか選択します。
注:他国に汚染が起きる場合、必ず「すでに汚染されている州」の隣の州に汚染を発生させる必要があります。選ばれた国がまだ汚染されていない場合、その国の所有者がどの地域に汚染が発生するか選びます[英文注:原文では「他の国」ではなく「他の地域」となっていますが、それだとルールにあまり意味がないので、誤植と思われます]。以上のルールのもとで、何の建物も建っていない州に汚染タイルを置くことが可能であるのならば、建物の建っている州に汚染タイルを置くことはできません。
汚染タイルを置くための空いている州が無い場合、人口駒のある州に置かなければいけません。この場合、そこにある人口駒、工場[または施設]、エンジニアは全て取り除かれます。


地球全体の汚染効果

誰かが汚染タイルを置くたびに、そのプレイヤーは国連の画面のところにマーカーを一つ置きます($1マーカーを裏返しにしたものか、あるいは別の何かを用意して使います)。マーカーが4つ溜まったら(二人ゲームや三人ゲームの時はマーカー3つ)、地球全体の汚染度を10%上げます。この時、ボードの飾り板を右に回転させて、画面が新しい汚染度を示すようにします。そしてマーカー4つを撤去します。その後直ちに各プレイヤーは、自分の三地域それぞれに汚染タイルを一つずつ置きます[この処理の時にはマーカーは置かない]。この汚染タイルは地域のどこに置いても構いません。
このようにゲームを続けていって、ターンの終了時にマーカーが残った場合(つまり四人ゲームなら3個未満ということになりますが)それらは効果を及ぼさずに廃棄されます。なお、ターン中に地球全体の汚染度は10%でも20%でも、あるいはそれ以上上昇することもあります。


汚染の低減

ターン中に誰も汚染タイルを置かなかった場合、地球全体の汚染度は10%下がります。国連ボードの飾り板を回して10%低い値を表示させ、各プレイヤーは自分の各地域から汚染タイルを一枚ずつ取り除きます。




生産

各プレイヤーは、自分の所有する人口駒一つにつき$1、無汚染工場一つにつき$5、汚染源工場一つにつき$10を受け取ります。


法案への投票

ゲームの中で、国連に一つ以上の駒を送り込んでいるプレイヤーは、法案を提議して投票にかけることができます。
注:同じ法案を一ターンに二回以上提議することはできません。また、一人のプレイヤーがゲーム中同じ法案を二回以上提議することもできません。

法案を提議するプレイヤーは、大きな声でその旨を宣言し、自分の色の駒を自分の法カードの対応する場所の上に置きます。[この駒はおそらく盤外から持ってくるものと思われる]

各プレイヤーは「賛成」「反対」「棄権」の三通りに投票できます。「賛成」に投票する外交官は緑の枠内に、「反対」に投票するなら赤の枠に移動させます。棄権するなら灰色の枠に移動させます。

賛成のほうが票数が多かった場合(外交官一人に付き一票として数えられます)、法は通ることになります。法案の提議者は直ちに国連の金庫室から$10を受け取ります。この法は直ちにゲームに影響を及ぼします。国連の金銭が足りなくなった場合、貰えるべきお金の一部または全部が受け取れなくなることもあります。

反対のほうが多いか、あるいは賛成反対が同数だった場合、法案は却下されます。提議者は何も受け取れません。

法案が通過したか却下されたかに関わらず、その法案の提議者はゲーム中同じ法案を提議することができなくなります。




プレイヤーの脱落

自分の三地域のいずれにも人口駒が一つも置かれていないという状況になったプレイヤーは、ゲームから脱落します。このプレイヤーの国庫の金銭は全て国連に移管されます。




ゲームの終了

第11ターンの開始時(ターンマーカーが「?」のマスに入ったとき)にコイントスを行うことはすでに説明しました。ゲームが終了した時点で、最も多く建物(つまり、汚染源工場と無汚染工場と清浄化施設)を建てていたプレイヤーが、その建物を維持できているのであれば、勝者となります[英文注:ルールには書かれていませんが、維持できない建物は除去されるものと思われます]。同点の場合、学士、外交官、エンジニアの合計数の多い方が勝者となります。それでも同点の場合、国庫に入っている金銭の多い方が勝者となります。




国連法

開発援助:最も工業化の進んだ国家は、最も工業化の遅れた国家に対し、建物の数の差分1つにつき$5支払う。

最も工業化の進んだ国家とは、全ての種類の建物を合わせた合計数が最も多い国家を指します。同値の場合、その対象者全員が定められた額を支払わなければいけません。最も遅れた国家が複数ある場合、援助金を等分します。

汚染防止:各プレイヤーは自国の汚染源工場1つにつき$10を支払う。またプレイヤーが煙草を吸っていた場合はさらに$10を支払う。地球全体の汚染度が30%である場合、各プレイヤーは汚染源工場を[一国につき]1つずつ壊さなければならない。40%ならば2つずつ、50%以上ならば全ての汚染源工場を壊さなければならない。煙草の火は消すこと。

プレイヤーが罰金を支払えない場合、対応する工場はエンジニアと一緒に除去されます。

特別ボーナス:国連は各外交官に対し$3ずつ支払う。

投票内容に関わらず、全ての外交官に対して支払われます。

国際的連帯:全ての国の国庫の金銭をいったん没収し、その後で没収した金銭を各国に等分する。

投票時点における全ての手持ちの金銭が没収されます。

補助:国連は金庫室にある額の半分を供出する。供出された金銭は、非汚染国家で等分する。

非汚染国家とは、黒い工場を持たず、また5駒以上の人口を抱えている地域には必ず清浄化施設[英文ではtreatment factory]が建っているような国家を指します。