2022-03-08から1日間の記事一覧

アリストテレス『詩学』第二十六章/了(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十六章 ■■ 叙事詩とトラゴーディアと、いずれが、より優れた模倣の形式であるかといふ問題が起り得る。〔叙事詩偏重者*1は下のやうに論ずる〕。卑俗性のより少ない芸術が、より優れたものであるなら、さうして卑俗性のより少ない芸術は、常に、より優…

アリストテレス『詩学』第二十五章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十五章 ■■ 次は、詩を評論するに当つて起る諸問題とその解決とに関してである。これらはある仮定に基いてなされる。その仮定が幾箇あるか、並びに如何なる性質のものかは、この問題を次のやうに観て行くことに依つて明かになることである。詩人は丁度…

アリストテレス『詩学』第二十四章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十四章 ■■ 尚、叙事詩は、トラゴーディアと同様なる種類に分けられねばならぬ。即ち、単一もしくは複雑なるものかでなければならぬ。性格、若しくは苦悩の物語でなければならぬ。また、叙事詩の構成要素も、旋律と場面とを取除けば、それと全く同じで…

アリストテレス『詩学』第二十三章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十三章 ■■ 次に、単に叙述するだけの詩、即ち韻文を以て模倣する〔に止まり、描かれたものを舞台の上にて実行しない〕所の詩に関して述べようと思ふ。叙事詩の物語は、トラゴーディアに於いてと、同じ法則の上に仕組まれねばならぬ。即ち、物語は、単…

アリストテレス『詩学』第二十二章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十二章 ■■ 優れた措辞とは、それが明快であると同時に、卑しからぬものであることである。実際、事物に対する普通の語から成る措辞が最も明快である。然し、かやうな措辞は、クレオフォン*1やステネロス*2の詩が示すやうに卑しい。これに反して措辞は…

アリストテレス『詩学』第二十一章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十一章 ■■ 名詞(広義に於ける)には二種ある。gē(earth)の如く、意味なき分子から成立つ単純なるもの、もしくは、二個の部分から成る合成語である。後者の場合に於いては、名詞は一つの意味ある部分と、一つの意味なき部分(但し、合成語になつて…

アリストテレス『詩学』第二十章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第二十章 ■■ 措辞は大体から言つて次の諸部分から形作られる。字母、音節、接続的小詞(スンデスモス)、分離的小詞(アルツロン)、名詞〔広義に於ける〕動詞、格、言詞(ロゴス)がそれである。字母とは不可分なる特別な音であつて、意味ある音の一分子…

アリストテレス『詩学』第十九章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十九章 ■■ 筋と性格とに就いて論じ終つた今や、措辞と思想とに関して考ふる仕事が残つてゐる。思想に関しては「修辞学」に於いて述べたことがあてはまるであらう。思想は*1、寧ろ、学問のその部門に属すべきものだからである。登場人物の思想は、彼等の…

アリストテレス『詩学』第十八章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十八章 ■■ すべての悲劇に於いて一部分は葛藤、一部分は解決である。戯曲のそとの出来事と、そうしてしばしば、戯曲の中の出来事のある部分とが葛藤を、自余のものが解決を構成する。此処に言ふ葛藤とは、物語の初めから主人公の運命が変化しかかる、丁…

アリストテレス『詩学』第十七章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十七章 ■■ 筋を組立て、それを詞《ことば》に拵《こしら》へ上げるに際して詩人は出来るだけ、描く所のものを眼前に浮かべなければならぬ。かくして凡てを、丁度、それらが実際に起つてゐる所を目撃してゐるかの如く、明かに眺めることに依つて、詩人は…