2022-03-06から1日間の記事一覧

アリストテレス『詩学』第十六章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十六章 ■■ 発見(アナグノーリシス)の如何なるものであるかは、大体、既に説き終つた。発見の種類に関して、第一に挙げられるのは、最も芸術味の少ないものであるが、単に、他に工夫なき所から、最もしばしば利用されるもの、即ちしるしに拠る発見であ…

アリストテレス『詩学』第十五章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十五章 ■■ 性格に於いては、四つの狙ひ所がある。第一は、さうして、最も重要なことは、性格は善く*1なければならぬことである。前にも言つたやうに、もしも人物の言葉もしくは行動が、何等かの一つの意図を明示するならば、その戯曲には一つの性格が出…

アリストテレス『詩学』第十四章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十四章 ■■ 悲劇的哀憐と恐怖は、場面から誘発されることが出来る。しかし、それはまた、戯曲の組立てと出来事そのものからも誘発され得る。この後の方法は前者よりも優れ、また其作家が、卓絶せる詩人であることを語る。筋は単にその話を聞く人が、その…

アリストテレス『詩学』第十三章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十三章 ■■ 以上述べてきた次に論ずべきことは、筋を仕組むに当つて、詩人は何を狙ひ、何を避けねばならないか、さうしてトラゴーディアの効果〔カタルシス〕は何から起るかといふ問題であらう。 最も優れたるトラゴーディアの筋は、単一でなく、複雑で…

アリストテレス『詩学』第十二章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十二章 ■■ トラゴーディアの組織的要素として取扱はれる、諸部分に就いては、前章に於いて、述べ終つた。然しその量、即ち、外形的に、如何なる部分部分に分けられるかと言へば次のやうな部分に分けられる。序詞(プロロゴス)*1、挿曲(エペイソディオ…

アリストテレス『詩学』第十一章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第十一章 ■■ 急転(ペリペテイア)とは戯曲に描かれたる事態が、反対の方向へ前に述べられた如く〔幸福から不幸へ、もしくは、不幸から幸福へと〕変化し、しかも、その変化は吾吾が今説いてゐる様式に、即ち蓋然的な、もしくは必然な運びを以てなされた場…

アリストテレス『詩学』第十章(松浦嘉一訳)

■■ 第十章 ■■ 筋には単一と複雑との二種がある。筋が模倣する人間の行動は、当然この二種に分れるからである。単一なる筋とは、継続的な、全き一体として、前に述べた如き様式の下に進む所の行動であつて、急転(ペリペテイア)も発見(アナグノーリシス)も…

アリストテレス『詩学』第九章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第九章 ■■ 以上に述べたことから、詩人の仕事は、実際に起つたことを描くのでなく、起り得ること、即ち、蓋然、もしくは、必然的に、可能なことを描くことである。歴史家と詩人との差別は、一方が散文で書き、他の一方が韻文で書くといふ点ではない。何と…

アリストテレス『詩学』第八章(松浦嘉一訳)

■■ 第八章 ■■ 筋はある人人が想像してゐるやうに、それが一人の人を取扱つてゐるからとて、そこに統一あるとは言へない。数限りない多くの出来事が一人の人に起る。さうして、それらの出来事のある部分は統一され得ない。同様に、人一人がする行動は、数多あ…

アリストテレス『詩学』第七章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第七章 ■■ 構成要素の分析は以上の如くである。次に、吾吾は、事件が如何なる工合に仕組まれねばならぬかを、述べようと思ふ。何となれば、筋は、トラゴーディアの要素の第一位のもので、同時に、最も重大な要素だからである。トラゴーディアとは、それ自…

アリストテレス『詩学』第六章(松浦嘉一訳) ※書きかけ

■■ 第六章 ■■ 吾吾は六脚韻律に於ける詩〔叙事詩〕と喜劇とに於いては、後の章で述べようと思ふ。さうして、これからトラゴーディアに就いて述べようと思ふ。それには、吾吾は先づ前に述べたことの結果として生ずる定義をまとめねばならぬ。前述の事柄から定…