エッセンまで1マイル

2000年か2001年に書いたエントリ。2010年の事情に合わせて若干の追記を行ってます。


欧州はドイツなる国にですね、エッセン(Essen)とゆう名前のついた都市があるのです。あまり日本人になじみのある都市とはいえませんが、ジャパニーズビジネスマンが多数生息するらしい都市デュッセルドルフから目と鼻の先で、電車でおよそ三十分くらい。大聖堂がある都市ケルンとか旧西ドイツの首都だった都市ボンとかからもふつーの電車で充分行ける範囲、特急ならやっぱり十分単位で着く感じでしょうか。人口は六十万以上と、ドイツでは十指に入る大都市ですが、あくまでそれはエッセン市という行政区分に住む人の合計であり、その広い行政区分のなかに小さな町が点々とあちこち散らばっているというのが実像で、行ってみると大都市という感じはまったく受けません。

それで。なぜにエッセンなどという都市名を唐突に文頭から紹介しているのかといいますと、ここには大きいメッセがありまして。東京周辺だと、東京ビッグサイトとか幕張メッセとかそういうやつ。ただメッセがあるだけならドイツにもベルリンとかフランクフルトとかいくらでもありますが、エッセンのメッセでは年に一度、十月の中旬か下旬かに、ボードゲームのショウが開かれるのです。でこの文章は、とにかくこのエッセン・ボードゲームショウに行ってもらおうという趣旨のもとに執筆されたいわゆるハウツーものまがいの記事なのでした。読んでる人がゲームショウなんてものに行きたいのか行きたくないのか、そもそも読んでる人はボードゲームが好きなのかどうか、一切無視。「機会があればまあ別に行ってもよい」くらいの仮定を勝手に置いて、話を進めさせていただきます。


Internationale Spieltage

というのが確かそのエッセン・ボードゲームショウの正式なタイトルだったはずです。「国際ゲームの日」とでも訳せましょうか。最初に述べたとおり、開催は年に一度、十月中旬または下旬、木曜に始まり日曜に終わる計四日間。ボードゲームファンのどちらかといえばささやかな催しとしてスタートしたようです。

現在どうなっているかというと、欧州の主なゲームメーカー(と結構な数の米国系メーカー)がほぼすべて出展、そういう大メーカーに混じってインディペンデント系ボードゲームメーカーとか同人でゲームを作っている人とかも出展、さらに卓上RPGの出版社やコレクタブルカードゲームのメーカーも数多く出展、一部のコンピュータゲームメーカーも出展、そしてなぜだか主催者側の都合によりこのボードゲームショウは漫画の見本市も兼ねているため漫画の出版社とかも多数出展、まったく理由は不明ながら遊園地の子供向けアトラクションを作っている会社も出展と、なんだかよくわからないほど大規模な催しになっております。四日間の合計入場者数はおおよそ述べ十五万人。とにかく一般向けのゲーム関連イベントとしては世界最大級の規模を誇るイベントであるということです。

そいで、そこで何をしているのかといいますと、基本的には新作ゲームをすばやく買ったり手に入りづらい古いゲームを中古で買ったり、ここ以外では売ってないんじゃないかというような同人ゲームを買ったり。そのほか、著名ゲームデザイナーのサインを貰ったりお話したり、ゲームメーカー提供のテーブルを使ってゲームメーカー提供のボードゲームとかRPGとかを遊んだり。あとコレクタブルカードゲームの人はトレーディングとか。あとぜんぜん関係のなさそうな手品のイベントとかクイズのイベントとか。とりあえず「ゲーム」で「イベント」というところから想像できるようなことはあらかた行われてます。お子様には先ほども申しましたとおり飛び跳ねたりぐるぐる周ったりとかそういうライドなどもございます。


旅の準備

そしてこの文章の問題点は最初に書いたとおり、「このイベントに行きたいでしょう」というような勧誘を放棄し、読者の人がこのSpieltageに行きたくなったことにしてそこから話を始めてしまうところなので、もう「旅の準備」という項目に移るのです。

とにかくこのショウに参加しようということになりました。とすると当然、ショウの開催される正確な日付を知らないといけません。これはどこに書いてあるかといいますと、

http://www.essen.de/

  • English
    • TRADE FAIRS
      • TRADE FAIR SCHEDULE

に出ています。つまるところエッセン市ウェブサイト英語版から「トレード・フェア」の項目に飛び、さらに「トレード・フェア・スケジュール」の項目に飛んでいただきますと出てます。変更される可能性がありますが、現時点では具体的なURLは
http://www.essen.de/english/fair/calendar.html
となっております。このサイトは幸いにもドイツ語でなく英語で記述されています。別に英語が読めなくても日程のチェックだけだから大した問題はないと思いますが。

ここ以外にも、エッセン市メッセのウェブサイト
http://www.messe-essen.de/
でも日程を確認できます。

(2000年には上記のように書いていたんですが、今だとEssen市サイトから行くよりmesse-essen.deから行くべき...というよりGoogleで"Essen spiel"検索すれば普通にEssen Spielの公式サイト出てきますね。http://www.internationalespieltage.de/ 英語版もあります)


宿

お次はお宿の確保。通常は欧州を旅行する場合など、現地に着いてからツーリストインフォメーションで適当なホテルを紹介/予約してもらったり、適当なホテルに飛び込んでみて部屋が空いているか聞いてみる、などの手法でまったく問題ないのでしょうが、なにせ相手はメッセ都市。ゲームショウだけでも述べ十五万人の人間が押し寄せてきてもちろんそのうち結構な割合の人間がよそからやってきてホテル滞在な上に、ゲームショウ以外にもビジネス関連の見本市とかをやっていてビジネスマンが大挙してホテル滞在などということだって有り得るわけです。というか現にそうなってる模様。さらには近くにあるデュッセルドルフとかもやっぱりメッセ都市だったりするので、少なくとも現地に行ってからではわりと何とかならないことも充分あるくらいには考えておいたほうがよさそうです。

ということでホテルの予約をしましょう。 ISIZE-TRAVEL や YAHOO!JAPAN-TRAVEL で予約が取れます。ただし、こういったサイトで予約できるのは、シングル一泊八千円クラス以上のホテルのみ。もっと安いのホテルを希望する場合はどうするか。そういう時はエッセン観光局に予約を任せてしまいましょう。先ほどのサイトに「ホテル予約コーナー」というものがありまして、ここのメールフォームに希望用件をたたっと書けば予約がとれます。英語で文を書くことに苦痛を覚えない方はどうぞ。といってもたいした文が必要なわけじゃないですけど。

http://www.essen.de/

で、ホテル予約依頼の入力フォームが出ます。希望条件を書けば、それに見合ったホテルを向こうが勝手にみつくろって予約してくれるみたいです。(←実際には使っていないので使用レポートは書けませんごめんなさい)。

エッセン・メッセには、デュッセルドルフ中心部とかからでも一時間かそこらあれば問題無くたどり着けますので、デュッセルドルフとかデュイスブルグとかボーフムとかその辺の、エッセンに近い街の宿を取るのも良いでしょう。ボーフムとかだったら予約なし直接でももしかしたらいけるかもしれませんが。

現地でホテルを探そうとするのがどれくらい無謀かについて示すために、ISIZE-TRAVELから検索をかけて出てくるエッセンののホテルについて、空き部屋確認をしてみました。
開催11ヶ月前/検索結果11件中空き部屋あり5件
開催5ヶ月前/空き部屋あり4件
開催1ヶ月前/空き部屋あり3件
開催1週間前/空き部屋あり1件
最後の一件はどこかというとシェラトンで、しかも残っているのはツインベッドルームとかそんなんでした。一泊二万円也。安くてメッセに近いホテルから順に埋まっていくみたい。(あの町にシェラトンなんかあったかなあ?)

ユースホステルという選択肢もあります(ユースったって別に御老人でも泊まれるんですけどね)。大量にゲームを購入する場合、個人的なスペースがない複数人部屋というのはけっこう不便ですが、宿泊費は安いので他人の存在が別に気にならない人はいいかもしれません。エッセン(正確にはエッセン−ヴァルデン)、デュッセルドルフ、共にユースホステルが存在します。デュッセルドルフのユースは IBN というネットワーク式ブッキングシステムを採用しているので、ユースホステルの窓口で日本から直接予約ができます。ただし泊まる日付の半年より前の時点で予約を入れることはできません。
ところでエッセンのユースはこのシステムを採用していないので、この方法はとれないわけです。予約を取りたい場合は手紙とかファクシミリとかを出します。

ドイツのユースホステル協会ウエブサイトは http://www.djh.de/ 。エッセン−ヴァルデン・ユースホステルのコーナーは
http://www.djh.de/

  • Jugendherbergen
    • Rheinland
      • Essen-Warden

ここでホステルの住所なり電話番号なりが閲覧できます。ドイツ語で。ドイツ語ができない人々は残念ながら、精度の悪い翻訳ソフトに頼るしかありません。翻訳のためのインターネットリソースhttp://www.kotoba.ne.jp/などで適当な翻訳サービスを探しましょう。

補足(2002年2月):なんか英語のも一応用意された模様。ともあれ直接リンクは以下の通りです。
http://www.djh.de/02_jh/JHData.asp?ID_JH=443 (独語)
http://www.djh.de/international/02_jh/JHData_e.asp?ID_JH=443 (英語)
http://www.djh.de/jugendherbergen/essen/ (独語)

このサイトには各ホステル別の空きベッドの有無を確認できるメールフォームが付いていまして、
http://www.djh.de/

  • Rheinland
    • Freie Platze

で、空きベッド確認メール発信フォームが出るので、行きたいユースホステルのところに、泊まりたい日付と人数を入れ、自分の名前/住所/eMail を添えて "Absenden"ボタン。そうするとだいたい三日ほどで、返事が返ってきます。ただしこのサービスはあくまで空きベッド確認だけなので、実際に予約を行うには、前に書いたとおり直接に手紙電話ファクシミリなどの手段によりコンタクトをとる必要があります。

あ、ご存知のかたもたくさんいらっしゃると思いますが、ユースホステルに泊まるにはユースホステル会員証というのが必要です。これを取るにはそういう事務所でお金(二千五百円)を払わないといけません。そのへん事務所の場所とかも含め詳しくは日本ユースホステル協会のページ
http://www.jyh.or.jp/
を参照してください。この会員証がどう見ても日本ドメスティックなものにしか見えないのでちょっと不安になりますが、ちゃんと海外でも通用します。事務所で「ユースホステル予約取り専用はがき」とか売ってますのでこれをあわせて買って使ってもいいかもしれません(いまいち使い勝手がよろしくなかったので、積極的にはお勧めしません)。

(これも時代がかってますねー。今だと普通にBooking.comとかVenereとかでいいと思います。ただホテル予約が結構シビアなのはあんまり当時とかわってません)


結局私はこのEssen-Werdenのユースホステルを使用したので、軽くレポートなど。行き方は、後述するエッセン中央駅からS-Bahnの一路線 S6で数駅、Essen-Werden駅で降り、そこから190番線のバス、Ruhrlandklinik方面行き(またこのバスが本数少ない)に乗って山の方向に分け入っていき、Jugendherberge(ユースホステル駅)で下車。あとはそこから矢印にしたがって歩いていけば着きます。歩きだと Essen-Werden駅から一時間弱といったところでしょうか。何というか日本だろうとドイツだろうと山の中は山の中、というような、避暑地然とした雰囲気に満ち溢れたところです。Essen-Werdenじたいがそういう雰囲気の、緑と川に支えられて空気が淀んでいるような町なのですけれど。それでチェックイン(夜8時だか夜9時だかまでチェックイン可能)しようと予約はがきを出しますと、やはり半年以上前の予約なんて誰も覚えていなかったようで大変先方慌てます。それでも結局泊まれたところから考えるに、予約なしで行っても問題ないのかも。

客はともかくフロントは英語まったく問題無し。朝食はつきますが昼と夜はなく、またホステル内にはスナックや炭酸水やコーラの自販機しかなく、さらに周りにも食堂はほとんどない(なんといっても山の中)ようなので、夕食は済ませてからホステルに戻ることをお勧めいたします。あと期間中ゲームを大量に買い込んで帰ると、コレクタブルカードゲームのバインダーを抱えたルームメートからドイツ語(たぶん)で、何を言っているのか不明ながら状況から言って「おまえもメッセ帰り?」としか考えられない台詞を投げかけられることが希にありますが、とにかくドイツ語がわからなくてもうろたえないようにしましょう。気になるお値段ですが4泊で合計100DM強でした。


ガイドブック

そもそもショウに参加したいだけの人ならガイドブックなんか要らないような気もしますが、それでも欲しいという人もいるかもしれません。とはいえエッセン情報が載っているガイドブックなどそうそうあるものではなく、私の探した限りでは、日本語のガイドブックでは唯一、実業之日本社刊「ミシュラン(グリーンガイド)」に、まともな量の情報が載っていたくらいのものです(それでも2ページとかそんなもの)。英語ガイドブックも含めても、おそらくエッセンに関しては一番詳しいガイドブックでしょう。高いけど(三千円くらい)。このミシュラン緑、他の街についても、他のガイドブックでは絶対載っていないような街についても一応押さえてあったりするのがすごい。但しタイヤ会社のガイドブックなので、鉄道情報については皆無に近いのは仕方なし。もちろん道路情報は詳しいので、レンタカーを借りて移動するというのであれば不都合ありませんが。あと、グリーンガイドと対をなす、かの有名なレッドガイドを考えてもらえれば分かるとおり、このガイドブックは旅慣れていない貧乏旅行者などハナから相手にしていないので、そのあたりの情報がほしい場合もちょっとつらいものがあります。

(グリーンガイド日本語版なくなっちゃったんですよねー。2010年現在ならロンリープラネット日本語版一択でしょう)

まあエッセンの情報はその程度であきらめるにしても、ガイドブックというのはあるとちょっと役立つもので、現地での電話のしかたとかトラブル時の電話番号とか郵便の出し方とか、そういうのを持っていると心強いものです。でもそのためだけにガイドブックを持っていくと重いので、図書館とかで本を借りて必要なページだけコピーして持っていくとか、本を買って必要なページ以外は切り取っていくと軽くて便利だと思います(便利でした)。


チケット

次は航空券。割引のない個人用チケットを購入できるような人なら航空会社とかが下へも置かないような扱いで何から何までやってくれるでしょうし、そもそもそういうものについて何か書けといわれても何も知らないので、格安航空券の話になります。

十月中旬から下旬ですと、アジア系航空会社(乗り継ぎ便)なら7万円前後からフランクフルト往復の格安航空券が手に入ります。もっと探せば6万前後のものもあるかもしれません。たぶん大韓航空でしょう。大韓航空がなんで比較的フライトタイムの短さのわりに安いのかは謎ですが、やっぱり墜落率と密接な関係があったりなかったりするんでしょうか。(まったく余計なことですが、飛行機の致死事故率とかが確認できるサイトというのがあります。 http://www.airsafe.com/[英語]。こういうものを見てしまうと、あの飛行機会社とこの飛行機会社には乗りたくなくなったり)

遠回りがしんどかったりする人はヨーロッパ系航空会社の直行便ということに。直行便といってもヨーロッパまで直行ってだけで、ルフトハンザ以外の会社だったら結局ドイツ入りまで2フライト必要。ルフトハンザを使っても、目的地空港がフランクフルト以外の都市(エッセンに最寄りの空港はデュッセルドルフ)だったら2フライトかかります。それでも2フライトでフランクフルトまでしかいかないアジア系よりは、2フライトでほぼ目的地と言っていいデュッセルドルフまでいけるというのはだいぶ楽です。おねだん8万強から。

(チケット代自体は2010年現在でもこんなもんか、あるいはもう少し下がってるくらいなんですが、問題は燃料サーチャージがかかることで、トータルだと現在はアジア系で最低7万くらいでしょうか。大韓とかベトナムとか。欧州系ではSASが安くて、トータル9万くらいでした)

ところでヨーロッパ行きの便というのはどういうわけだかほぼ全てが日本を午前に出発するフライトでして、夜出発する便というのは極端に少ない。たとえば成田発の飛行機を見てみますと、エールフランスから21:55発というのがひとつあるだけで、他はせいぜい、アジア系の会社で夜8時というのがあるくらいです。で、このエールフランスのチケットが。高い。詳しくはISIZE TRAVELあたりで見ていただければわかると思いますが、最安が11万円とかそれくらいのオーダーになっております。ナイトフライトで行きたいひとは覚悟しましょうね、と。(でも結局、私はこのエールフランスのナイトフライトを使ったんですが、最終的に九万で購入できました。表示価格では十万四千円だったんですが、キャンセル待ちしてる間に安くなったんでしょうか。いずれにせよ代理店のアドバンストラベル http://www.advancetravel.co.jp/には感謝。)

(2010年、ついに羽田発深夜欧州便が就航になります!)

値段に関する注意ですけど、航空券の本体価格以外に、空港使用料とか出入国税とかそういうのがあわせて五千円くらいかかるので、そのへんも忘れないようにしましょう。

あともう一つ。直前になってチケット押さえようとすると、意外に席が埋まっててキャンセル待ち、なんてことになりかねません。私の場合も、三週間前に連絡を入れたら、帰りの「フランス→日本」という、おおよそドイツとはなんの関係もないところで満席になっていてキャンセル待ちになりました。キャンセル待ちの席がとれるかどうかは、代理店の人の気力によるところが大きいという話を聞いたことがありますが、とりあえずチケットの確保はお早めに、ということで。

格安はやだ。という人は正規個人割引であるところのPEXを使って航空会社から購入したりするんでしょうが、このへんは使う気がなかったのでよくわかりません。たしかルフトハンザの学割PEXが十一万くらいだったと思います。このへんは航空会社のページとか、大手代理店のページとかに出ていることでしょう。適当な検索エンジン/ポータルからどうぞ。

(最近はPEXが最安ってことも多くなってますね)


そのほかの準備

あと行う準備といいますと、荷造りとかパスポートとか両替とかそのへんですが、このあたりは基本的にセオリー通りで問題無いでしょう。荷造りに関しては軽く小さく、とか、トラベラーズチェックは不便なのでクレジットカードを基本にとか(そんなセオリーあったっけ。でもドイツはトラベラーズチェックで直接支払いができないところがほとんどなので、不便なのは本当。エッセンの両替所でユーロのチェックを換金しようとしたら、受け付けの人に「ユーロのチェックって嫌われてるんですよー」と教えられた)。このへんのセオリーについては、地球の歩き方ウェブサイト http://www.arukikata.co.jp/から「旅の準備と手続き」の項目でも見ればよいのではないかと。

特別な準備といいますと、ゲームを大量に買って、その一部を機内運搬で持ってかえりたい場合は、なにか行きの荷物の量にくらべて不釣り合いに大きいバッグを持っていかないといけないということでしょうか。ボードゲームの外箱はやたら大きいので、特別な工夫を講じない限り、重量制限よりも先にバッグ容積の限界が来ます(特別な工夫っていうと、外箱は潰して平面状にして、中身を袋でまとめて別に持っていくとか)。あとハードケースを用意しないと、スポーツバッグとかに詰めるとボードゲーム外箱は確実に破損します(しました)。


ドイツ内の移動

ドイツ内での移動は主に公共移動機関を使うわけですが。ドイツの鉄道はDB(長距離),S-Bahn(中距離),U-Bahn(短距離)三種類ありまして、これに市バスを加えた四種が公共移動機関ということになるわけですが、このうちDBだけが少々特殊で、残りの三種は利用者側にとってみれば乗り場が違うだけで、課金システムとかは全て共通しています。

三種のほうから説明しますと、駅の自動券売機、またはバスの場合は停留所の近くに自動券売機がないときはバスの運転手から直買いで、行き先までの切符もしくは一日券を買います。ホームないしは乗り物の中に備え付けてある自動改札機に切符を入れることで入場時刻スタンプを押し(バスの中で買った切符の場合、まれに改札不要な切符もある。そうゆう切符はどうみても改札機に入らないようなサイズと紙質になってるのですぐわかる)、あとはその切符を目的地までずっと持っている。ということです。電車もバスも料金体系はいっしょなので、乗り換えのときにチケットを買い替える必要はまったくありません。

このシステムだとただ乗りし放題なので、ときどき(希に、ではなく、ときどき)車掌が切符もってるかどうか見回りに来ます。一日券の場合、券が有効な半径によって値段が数種類あります。距離とか自治体とかによりますが一回券は2-4DM、一日券は10DMくらいと考えておけばいいでしょう(2000年11 月現在、おおよそ1DM=50Yen)。この交通システムを使用するときの注意点はいくつかあり、ちゃんとチケットに忘れずにスタンプを押すことと、バスの運転手から直にチケットを買う時のために、行き先の場所の発音は練習しておくこと。また、S-Bahnの時刻表を見るときは、肝心の路線番号(S1とか S3とかあるその数字の部分)がとても小さく印刷されているという事実をあらかじめ了承しておくこと。以上は押さえておかないと後で困ります。

長距離線DBはこれとはだいぶ違うシステムをとっていまして、どういうシステムかといいますと、日本で新幹線の指定席とか買うのと一緒です。窓口で乗車券と座席券を買って、座席券に書いてある席に乗ると、車掌が切符を見にくる。それだけ。あと年齢が若いと乗車券が少し安くなります。窓口の人は英語が通じると思ってかかってまあ大丈夫だと思います。

日本で「ジャーマンレイルパス」が販売されていますが、これは上に挙げたすべての交通機関に一日乗り放題のチケットで、最低4日以上ののパッケージで販売されています。二千年十一月現在で、お値段一万五千円から。

ドイツの公共移動機関については、DBのウェブサイトhttp://www.bahn.de/が便利です。何が便利かというと時刻表の検索が(英語で)できるあたり。トップページからInternational Guestsの項目で飛べます。


エッセン

メッセ・エッセンは、エッセンの中央駅から短距離線U-Bahnのなかの一路線U11というのに乗って数駅です。また、ほかの都市から鉄道でエッセンに着くときの玄関口も、もちろんエッセン中央駅。ということでエッセン中央駅とはどんなところかということですが、一言で申しますと、人でにぎわってはいますし、両替所(英語OK)とか本屋とかカフェとかいろいろありますが、基本的に中央駅にしては小さく、また少々薄汚れた感じの駅です。あと麻薬の販売業者とおぼしきかたもところどころいますね。あまり愉快な気分になるようなところではありません。この駅で時間を潰すなら、駅を出てすぐのマクドナルドとかカフェテリアとかカフェに迷わず突き進んだ方がよいものと思われます。

駅を出ますと町があります。最初に書いた通りエッセンは小さな町の集合体みたいなものですから、中央駅周辺も「小さな町」そのものの、どうもこちらもあまり楽しい気分にはなれなさそうな雰囲気が漂います。駅の向かいのところに立派なツーリストインフォメーションがあります(駅から矢印が出てる)ので、なにか情報がほしいかたはそちらまでどうぞ。英語は一応通じます(かなり怪しい)。

さて駅周辺の散策はいいとして、U11路線です。清潔度に若干の減点要素を抱えるエッセン中央駅ですが、U-Bahn部だけはどういうわけだか別物のよう。まあそれはいいとして、掲示に「U11」と出ているホームで待ち、来た列車に乗ってメッセ・エッセンに行くわけです。いくつか「メッセ」と名のついた駅がありますが、これは単純にメッセ・エッセンが数駅ぶんにまたがる大きさだというだけのことであり、どこで降りてもとりあえずメッセ・エッセンで、正規入り口まで矢印にそって少し歩けばいいだけのことなので、どこで降りるかの心配はしなくてもかまいません(一番便利なのは、たぶんMesse Ost駅)。それにどうせ当日のU11路線は大量の人が乗っているので、エッセン中央駅のU-Bahn部に降りた時点でその大群を探して見つけたらそれにくっついていけば、確実に目的地に到着できます。

(2010年追記:Essen Spielのパスを持っていれば、当日のUバーンは無料で乗れます)


会場

メッセに持っていくものは金と買い物袋。買い物袋は会場内でもいくつかのゲームメーカーで紙袋を配っているので、ないならないでかまいません。クレジットカードは効かないものと思っておいたほうがいいですが、ただメッセ内に両替所があるのでたぶんそこでキャッシングはできるはずです。ともかく会場に着いたらまずは入場チケットを買います。4日通しの券がおよそ40DM。1日券だと10DM強。改札のひとにパンチ穴を開けてもらって中に入ります。いったんメッセの外にでて帰ってこようという場合、外にでるときに改札のひとに「また帰ってきます」と言って、そういう証明を貰わないといけません。

入場チケットを買って中に入っても、会場時間になるまでは入り口ドアの前で待たされます。当たり前か。私は初日のみ開場時間前に行ったのですけど、その時はちゃんと列になって並んでいませんでした。団子のように入り口の前に。団子になってる人数は数百人程度の規模ですので、一番前に陣取って開場を待つとかもやろうと思えばできるんですが、別にこのイベントでは3分程度入場が遅れたところでどうということはないのでそんなことしなくていいと思います。あと優待券を持っている人は開場時間前に中に入れますが、これを開場と勘違いしないようにしましょう。

開場時間になって中に入ったら、早いうちに済ませておくべきことがいくつかあります。
1)中古ゲーム屋で買い物
2)数量限定同人ゲームブースを物色
3)ゲームデザイナー/イラストレイターのサイン会日時をチェック

1)初日にくる人にとっては目玉みたいなものでしょうか。中央入り口からはだいぶ遠い6/8番ホールに行きますと、中古ゲーム屋ブースのコロニーがあり、レアゲームが邪魔そうにごろごろしております。ほとんどのゲームにはプレミアがかかっておらず、ただの中古ゲームという扱いの値段で出ています。基本的には早く行ったほうがいいのですが、会期中も補充が行われていて、初日にはなかったのに三日目になると見つかるゲームとかがあるため、定期的にチェックすると良いでしょう。

2)同人ゲームに関しては、初日の午後三時くらいまでなら、数量が少ないゲームでも売り切れることはまず無いと考えていいと思います。ただ二日目以降になると、あらかじめ予約販売をしているゲームはぽつぽつと無くなっていきますので、あらかじめいろいろなウェブサイトを周るとかして、すばやく購入しておくべきゲームの目星をつけておいたほうがいいかもしれません。

3)これがなかなか大変で、何が大変かというと、当日になって「本日14時よりサイン会」とか、サイン会をやるブースでこっそり張り出されていたりするので油断がならない。自分の同人/インディペンデントレーベルを持っていてブースを出しているデザイナーなら、そのブースに行けば確実にサインを貰えるんですが、そうでなければ、サイン会をやりそうな店とかメーカーとかのブースで、「何時にデザイナー来ます」とかの表示をチェックしないとサイン貰い損ねます(←チェックできずにR.Staupeのサインを貰い損ねた)。あとデザイナーの顔も知っておかないとつらいか。いくつかのサイン会は、ゲーム雑誌の広告とかでメーカーから告知が出ていることがあるので、ゲーム雑誌をすばやく手に入れて調べておくといいかもしれません。ゲーム雑誌(Spielbox, Die Poeppel Revue, Fairplayの三誌。いずれもドイツ語)のブースはいずれも10/11番ホールにあります。
ボードゲームにサインを貰う際の注意としては、外箱ではなく中身のボードにサインしてもらうこと。これ鉄則。なぜなら外箱はすぐボロになるからです。下手をすると日本への運送だけでボロになってしまうかもしれません。

あとはそれなりに英会話/ドイツ語会話ができないとルール説明されてもわからないだとか、複数人で行かないとゲームを実際に遊ぶのはなかなか難しいとか、そのくらいで。あ、メッセ内にはいくつか食事/喫茶のできる場所がありますが、それぞれ値段が異なっていたりしますのでどこがいいか巡ってみるのもいいかも。


買ったゲームを持ち帰る

直接持ってかえるか送るかの二つの手段があり、直接持ってかえるほうについてはすでに触れているので、ここでは「送る」ほうについてということになります。どういうわけだかメッセ内には荷物配送をやっている業者さんがおりません。一応メッセ内を歩いていると郵便局らしきものはみつかるのですが閉まってましたふざけんな。そしてメッセから最寄りの郵便局までは結構な距離を歩かねばならず、やっとのことでたどり着いたはいいものの窓口の人が英語しゃべれず。うわー。そして荷物の梱包に必要な段ボールが在庫切れであることが判明。そこで濡れ鼠のような目で途方にくれていると見かねた客の一人が「今から車で帰るんだけど途中に郵便局あったはずだから一緒に乗る?」と。遠い国で見知らぬ人の心の優しさに触れたはいいもののそこで見つかった郵便局の局員もやっぱり英語わからず。また見ず知らずの客のひとに通訳とかしてもらい。後で聞いたところによるとドイツの郵便は「船便/航空便/航空便エコノミー」の三種類があるらしく、それに荷物が2kg以下の場合は「小包便」というのもあるらしいのですけど、こちらも向こうもそれどころではないのでとにかく住所書いた送料いくら送料二箱で160DM(家につくまでの日数から後で考えたところによると航空便)。高い。

(今はメッセには郵便局ありません。もしかしたら当時もなかったのかも。中央駅前に郵便局あるのでそこまで行きましょう。タクシーなら10ユーロくらい)

というわけでドイツ語ができないと郵便局で困ったことになります。

ドイツ郵便局で扱っている段ボール箱のなかで一番大きいXLサイズを使うと、標準的なボードゲームの外箱(37cm*27cm*5cm)なら3箱入ります。長辺はすこし余りますので、余ったスペースに小さいカードゲームの箱とかを入れることができます。実験で家にあるモノポリーの横に長い箱をいれてみようとしましたが、ぎりぎりで入りませんでした。短辺はまさにジャスト。そして困ったことにラベンズバーガー社のボードゲームだと入りません。Jumboのゲームも入らなそう。どうすればよいのでしょう。私の方が誰かに教えていただきたい。あらかじめツーリストインフォメーションとかでそのあたりのことを聞いておくべきだったかも。私は結局直接持って帰ったのですが。直接なら送料かかんないし。外箱壊れたけど。


日本に帰る

ゲームは特別な関税がかかる物品ではないのでそのへんの記述は適当でOKです。

以上で体験をもとにしたこの偽ハウツー(どうも役にたたないような気がしてならないあたりが特に偽)は終了なのですが、私の場合は最後にパリ・シャルル・ドゴール空港の職員の荷物運送失敗によりロスト・バゲージという落ちがついていました。そして荷物受け取りの半券も紛失。最悪。(注:半券無しでもなんとかなりましたし、最終的に荷物も届きましたので、ロスト・バゲージになってもそれほど心配はしなくて良い模様)