古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / スパルタクス Spartacus

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

3-5人用/10分

ローマが拡大する中で、多くの教養ある、また元々は自由の身だった市民が奴隷の身分となりました。そしてローマ革命期には奴隷の蜂起が頻発しました。ローマにとって最も危険だったのは、トラキア人剣闘士スパルタクスに率いられた、紀元前74年〜71年の蜂起です。スパルタクスはその絶頂期には十万人以上の兵力を有し、ローマの軍団に対して驚くべき成功を挙げました。しかし最後には、ローマ人は彼を打ち負かし、反乱者は故郷へ帰る望みを絶たれたのです。

スパルタクスは簡単なカードゲームで、ここでは低い値が高い値に勝ちます。各プレイヤーは開始時に同じカードの組を受け取ります。カードの値は、ローマ住民間の様々な階層を表します。各プレイヤーは順番に、より低いカードを連続的に出していきます。最も低いカードを出したプレイヤーが、出された全てのカードを獲得します。数ラウンド行った中で、獲得したトリックの価値が最も高いプレイヤーが勝者となります。

用具

それぞれのプレイヤーごとに、一色1〜10の数字カードと、同じ色の旗印カード一枚が必要です。得点の記録用に、メモ帳も必要になります。

準備

ゲーム開始時に各プレイヤーは、一色により構成される、1〜10の数字カードおよび旗印カード一枚を手札とします。メモ帳を区切り、各列の先頭にプレイヤー名を記入します。誰からゲームを開始するか決めます。

ゲームの流れ

このゲームは個々のトリックを通じて進行します。最初のプレイヤーが手札から任意のカードを出し、それからゲームを時計回りに進めていきます。

まだ旗印カードしか出されていなければ、プレイヤーは自分の手札であれば何でも構いませんが、一枚のカードを出さなければいけません。

ひとたび数字カードが出されたら、プレイヤーができることは以下の二つにななります。一つ、より低い数字カードまたは旗印カードを出す。二つ、パスをする。パスをしたプレイヤーは、そのトリック中はもうカードを出せません。

カードを出すという行為は、様々な階層の住民の間で起こる、権力を巡る闘争を象徴しています。このゲームは奴隷の叛乱を扱っているので、低いカードが強いのです。

どのプレイヤーも、現在のトリックにおいて出されたカードを確認できます。このトリックにおいて誰かが出したカードが、そのプレイヤーの次の手番が回ってきた時点でなお最強カードである、という状況になるまで、トリックは継続します。これはつまるところ、他のプレイヤーが全員パスすることでトリックが終了するということを示しています。

最終的に一番低い数字カードを出したプレイヤーがこの蜂起において勝利したということになり、トリックの全てのカードを獲得します。これは、一番低い数字カードの後に旗印カードが出されていた場合でも変わりません。この場合でも、トリックのカードは最後の数字カードを出したプレイヤーのものになります。この勝ち残ったプレイヤーは、獲得したカードを裏にして、独立した山にして自分の前に置きます。

時計回りに見て勝者の次に位置するプレイヤーが、手札から任意のカードを出して新たなトリックを開始します。この方法により、全てのプレイヤーがゲーム中に同じ回数の手番を行うことになります。

同じ方法で、以降の各トリックを行っていきます。得点精算のために、勝ち取った各トリックはそれぞれ別個に積んでおくよう気を付けてください。

ゲームの終了と精算

誰か一人が手札を出し切ったら、ゲームは終了します。その時のトリックは、その時点までで最も低い数字カードを出したプレイヤーのものになります。最後のトリックに旗印カードしか出されていなかった場合、このトリックは誰のものにもなりません。

ここで得点計算が行われます。各プレイヤーはトリックによって獲得した得点を合計します。個々のトリックにおける数字カードの値を足し合わせます。旗印カードは一枚入っているごとに、そのトリックの合計の価値を倍にします。従って、旗印カードが二枚入っていれば四倍に、以下同じように計算します。これらの得点は、メモ帳の各プレイヤーの欄に記載しておきます。

手札に残したカードの値は、プレイヤーの総得点から減算されます。手に旗印カードを持っていたら、そのプレイヤーへの罰符が同様に二倍されます。

合計点の最も高いプレイヤーがゲームに勝利し、奴隷蜂起の成功を決定付けることとなります。

シリーズ

スパルタクス」は時間のかからないカードゲームで、繰り返し遊ぶのに適しています。ローマ革命の時代は、連続的に起こる叛乱の繰り返しとして見ることもできるのです。

この場合、個々のゲームの得点を続けて記録していきます。連戦の終了時に、得点総計が最も高いプレイヤーが勝利します。

旗印カードをジョーカーとして使う

直前に出されたカードより少しだけ低いカードが常に存在するように、旗印カードの機能を変更してジョーカーとして使っても構いません。これで1は、自動的にトリックを獲得できるゲーム最強のカードではなくなります。ジョーカーは別の既に出されたジョーカーよりもさらに強い切り札として働きます。トリックは最後に出されたカードが持っていきます。それが旗印カードであったとしても。

ジョーカーは非常に強力なカードです。しかし、最後の精算時にはジョーカーは得点になりません。また、トリックの中身あるいは手札の中にジョーカーが一枚入っているごとに、10点が減点されるようにするということも可能です。ジョーカーの入ったトリックは全て無価値になるとすれば、ゲームはさらに過激なものとなるでしょう。少なくとも良いトリックを手に入れるための新しい戦術が必要になります。

旗印カードを使わない

別の変化形としては、ゲームから旗印カードを取り除くというものがあります。こうするとトリックの価値が早く見積もれるようになるので、ゲームの予測可能性が高まります。ですがここでは、多くの犠牲を払うことなく相手を抑えるために、出すべき正しい値のカードを見いだす必要が生じてくるのです。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / カエサル Caesar

©Reiner Knizia, 2002
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2-5人用/20分

ローマ革命期における権威の失墜は、以下に記すような傑物を繰り返し生み出しました。彼らは権力を握り、以後の出来事に対して決定的な影響を与えたのです。彼らとはつまり、マリウス、スッラ、ポンペイウス、そしてカエサルです。彼らは皆、自らの理想のために闘いました。

カエサル」は権力をめぐるゲームです。各プレイヤーはカウンターを五つずつ持ちます。これは自分の応援民団体(クリエンテス)を表し、ゲーム盤上に配置されます。順々にカウンターを動かしていきます。より強力な団体を形成するため、カウンターが積み重なって権力が集約されていきます。闘争はカードを用いて解決します。最終的に最も多くのカウンターを制御するプレイヤーがゲームに勝利します。

用具

ゲーム盤の他に、各プレイヤーに一色からなる1から9までの数字カードと旗印カード1枚が必要になります。さらに各人につき、カードと同色のカウンターが五つ必要です。プレイヤー人数が五人未満の場合、別の色の中立的カウンターを使って、ゲーム上のカウンターの合計数が25になるようにします。青のカウンターは十個用意されているので、この用途に適しています。最後に、黒のポーンがひとつ必要です。

準備

ゲーム盤を広げます。縦横それぞれ五列、25のマスが描かれています。黒のポーンは盤の脇に置きます。

プレイヤーはそれぞれ、一色十枚のカードを手札として受け取ります。加えて、自分の色のカウンターを五個ずつ持ちます。このカウンターは、権力を求めるプレイヤーの戦いを支持する、応援民団体を表しています。誰からゲームを始めるか決めます。

カウンターの配置

このゲームは最初の五ラウンド、各プレイヤーが順々に自分のカウンターをゲーム盤上の空きマスに置いていくところから始まります。

ゲームのプレイヤー数が五人未満だった場合、空いたままのマスがいくつか残ります。これらのマスは中立カウンターで埋めて、ゲーム盤上の25マス全てが埋まるようにします。

ゲームの流れ

ゲームは順繰りに進んでいきます。手番のプレイヤーは、二つの行動のうちどちらかを取ることができます。

手番プレイヤーは、自分または中立の応援民集団の間で同盟を組ませることができます。そうしないのであれば、他のプレイヤーとの闘争に乗り出さねばなりません。その後、次のプレイヤーが同じように手番を行います。

同盟

自分のカウンターが二つ同じ縦列か横列に並んでいて、二つの間に他のカウンターが挟まっていなければ、そのプレイヤーはこの二つの集団を合併させることができます。片方のカウンターを取って、もう片方のカウンターのあるマスに移動させます。結果、二つのカウンターによって構成される単一の集団ができあがり、当然、より強い影響力を後々持つことになります。

複数のカウンターで構成されている集団についても、同じ方法で同盟を組むことができます。本質的に、一つのマスに存在している全てのカウンターは、常に単一のユニットとして移動させるのです。一度同盟が組まれたら、再び分割させることはできません。

プレイヤーが五人未満の場合は、盤上には中立のカウンターも存在します。この場合、間に挟まっているカウンターが無ければ、プレイヤーは自分のカウンターを中立のカウンターの上に重ねるという選択も同様に行えます。

こうしてプレイヤーが二つの集団を結合したら、手番は終了となり、次のプレイヤーの番になります。

闘争

自分の手番に同盟を形成するのでなければ、プレイヤーは必ず対立する集団との闘争に乗り出さなければなりません。自分の集団ひとつと他プレイヤーの集団をひとつ選び、二者の間に黒のポーンを置きます。この二つの団体は、必ず同じ縦列か横列に存在しなければならず、また間に別の団体が挟まっていてはいけません。

闘争は、両方のプレイヤーが手札から一枚ずつカードを選び、同時に公開することで解決されます。

片方あるいは両方のプレイヤーが旗印カードを選んでいた場合は、闘争は結果無しで終了します。しかし、両方とも数字カードを選んでいた場合は、それぞれの集団を構成するカウンターの数に、カードの数字を足し合わせます。この合計値が高いほうのプレイヤーが闘争に勝利し、自分の集団を、負けたほうの集団の上に重ねることができます。結果としてできあがる集団は、勝った方のものになります。これは新しい団体の一番上に置かれたカウンターが、勝った方の色のものであることによって示されます。

合計値が同点で引き分けの場合、集団は両方ともゲームから取り除かれ、片づけて置かれます。

いずれの場合も、闘争に使用したカードは両方とも、伏せて捨て札とします。各カードはゲーム中一度しか使用できません。プレイヤーは手札の残り枚数を他から隠してはいけません。

他のプレイヤーとの闘争に乗り出すことが不可能であれば、手番をパスすることができます。

勝利条件

ゲーム中に、誰かが自分の集団を全て失ってしまった場合は、そのプレイヤーは敗者となりゲームから除外されます。

誰か一人のプレイヤーが手札十枚を全て使い切ってしまったか、これ以上の闘争が起こり得なくなってしまったか、いずれかになったらゲームは終了となります。

ここでプレイヤーは、自分の持つ全集団のカウンターの数を足し合わせます。最も多くのカウンターを持っていたプレイヤーが、この権力を巡る闘争に、そしてこのゲームに、勝利します。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 総督 Prokonsul

©Reiner Knizia, 2002
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3-5人用/45分

共和制の初期から、ローマ人は隣人の扱いに非常に長けていることを証明してきました。同盟諸都市がローマの市民権を提供され、すぐに戦敗国から忠実なる属国へと変わっていったのです。征服した土地が広がると共に、総督の指導下にローマ属州が創られました。高官がローマの職務から属州における総督管理下の職務へと転任させられたのです。拡大する一方のローマの運営は、かつてないほどに複雑なものになっていきました。

「総督」は、この本の中では最大級のゲームです。ルールは相当に複雑で、時間も比較的長くかかります。交渉の機会が多いため、プレイヤー個々の貢献によってゲームが円滑に解決するのです。

各プレイヤーはそれぞれ貴族家系に扮し、最も豊かな属州における総督の地位を得ようとします。ゲーム盤は共和政ローマ初期の属州を示しています。各属州の人事において、各プレイヤーはカードを用い、家系の人間の持つ影響力を行使します。総督になるためには、まず候補者として推薦され、それから属州の職務に指名されなければいけません。巧みな交渉が求められます!

用具

ゲーム盤に加えて、プレイヤーはそれぞれ一色、1〜9と12のカードを受け取ります。また、それぞれのプレイヤーにつき、カードと同色のポーン一つとカウンター五つが必要になります。最後に、黒のポーンひとつとチップがいくらか要ります。

準備

ゲーム盤をプレイヤーの間に広げます。ここにはローマの初期の属州が示されています。全ての属州には数字が書かれており、これは総督の職務者にとっての、属州の価値を示しています。

一人のプレイヤーが全プレイヤーのポーンを自分の手の中に入れ、ポーンを混ぜてから、一度に一つずつ、手の中を見ずに取り出します。このポーンはゲーム盤上の五つのマスに、引いた順で左から右へと置いていきます。プレイヤーが五人未満だった場合、残ったマスは空いたままにしておきます。このポーンの並び順が、ゲーム中に起こる同点時の解決手段になります。

それぞれのプレイヤーは自分のカウンターを、全員に見えるようにして自分の前に置き、自分の色のカード十枚を手札とします。各プレイヤーは初期支給額として、合計額が20になるようにチップを受け取ります。このチップはゲーム中は隠しておきます。残ったチップは金庫として置いておきます。これでゲームを始められます。

ゲームの流れ

ゲームはそれぞれ独立した複数のラウンドによって行われます。各ラウンドの開始時に、黒のポーンを七属州のうちのどこかに置きます。ラウンド中は全ての事が、この属州を巡って行われます。要約すれば、ラウンドは以下のように進んでいきます。

はじめに、プレイヤーはそれぞれカードを一枚選んで、同時に公開します。高いカードを出したほうから順に、各プレイヤーは家系の人間が総督の地位を得られるように、嘆願を行います。立候補者の誰かが選挙中、他の貴族からの充分な支援を受けた時点で、そのプレイヤーがラウンドを勝ち取ったことになり、対応する属州にカウンターを置くことができます。

使ったカードは裏を向けて脇に置いておきます。ラウンドを勝ち取ったプレイヤーが別の属州を選び、そこに黒のポーンを置きます。そして次のラウンドが始まります。

十ラウンドが終了し全てのカードを使い切ったら、プレイヤーは全員、自分のカードを手に戻してゲームを続けます。どのプレイヤーも再び、1〜9と12の全種類のカードを使えるようになるわけです。

カードの公開

各ラウンドの開始時に、プレイヤーはそれぞれ自分の手札からカードを一枚選び、それを自分の前に裏向きにして出します。全員の準備ができたら、カードを全て一斉に表にします。貴族家系はこのカードを、総督人事に介入するために使うのです。

公開されたカードの値を合計し、合計値をはっきりと宣言します。ラウンドを獲得するためには、プレイヤーはこの合計値の過半数を掌握せねばなりません。この過半数となる値も宣言しておきます。これで全てのプレイヤーが、均等な情報のもとに交渉を始められるわけです。

自分のカード一枚だけで既に過半数を抑えているようなプレイヤーがいた場合は、そのプレイヤーが直ちにラウンドを獲得します。

嘆願の順序

誰も直接に過半数を獲得できなかった場合は、嘆願によりラウンドの行方が決まります。こちらの場合の方が普通でしょう。

最も高いカードを出したプレイヤーから嘆願を行います。このプレイヤーが嘆願に失敗したら、二番目に高いカードを出したプレイヤーが嘆願を行い、以下同様に、一番低いカードを出したプレイヤーまで続いていきます。最後のプレイヤーも嘆願に失敗したら、最初に嘆願を行ったプレイヤーが、このラウンドを獲得します。従って、いかなる合意もなされなかった場合でも、各ラウンドは必ず誰か一人が獲得します。

複数のプレイヤーが同じ値のカードを選んでいた場合、ゲーム盤上五つのマスの上に置かれたポーンが左に並んでいるほうから順に手番を行います。この方法によって嘆願権を獲得した同点のプレイヤーは、自分のポーンを一番右に移動させ、そして他のポーンはそれぞれ左にずれて空いたマスを埋めます。ですから、同点の場合にどの貴族家系が先手を取るかというのはそれぞれの場合で異なってきます。

嘆願の流れ

カードが公開され目標となる過半数の値が決まったら直ちに、管理された整然たるゲーム進行のために、コミュニケーションに関する厳格なルールを守らなければならなくなります。

プレイヤー間の話し合いは全て禁止されます。嘆願を行うプレイヤーだけがものを言い、自分の状況分析を提示し、自分に総督の職務を与えるよう説得することができます。他のプレイヤーは嘆願に対してコメントしてはいけません。双方向的な交渉は認められません。

嘆願を行うプレイヤーは必ず他のプレイヤーを一人選び、任意の内容の約束、またはチップの支払いという形によって、具体的な提案を述べます。提案を受けたプレイヤーは、「イエス」または「ノー」の回答を除き、コメントを行うことはできません。他のプレイヤーは、自分の舌がどれほど動きたくてたまらないと主張していようと、黙っていなければなりません。

選んだプレイヤーに提案が拒絶された場合、続く嘆願において、このプレイヤーにはそれ以上の交渉を持ちかけることはできません。嘆願する貴族家系の支援を拒絶したという事実には後戻りが効かないのです。

他方、選ばれたプレイヤーが提案を受諾した場合は、嘆願を行ったプレイヤーは約束しただけのチップを、家系の金庫から取ってきて渡します。見返りに、嘆願を行ったプレイヤーは、受諾したプレイヤーの公開カードを受け取り、自分自身のカードに添えて置きます。但し、嘆願を行ったプレイヤーには、それ以上の約束を守る義務はありません。

嘆願中のプレイヤーがまだ過半数を獲得できていないのであれば、一人また一人と別のプレイヤーへのロビー活動に移ることができます。

この手順は、嘆願を行うプレイヤーが過半数を獲得してラウンドを勝ち取るか、あるいは全員にロビー活動をし尽くしてしまうかするまで続きます。

プレイヤーが他の全員に話を持ちかけ、それでも過半数に到達しなかったのであれば、このプレイヤーの嘆願は失敗に終わることになります。この場合でも、このプレイヤーは集めたカードを全て残しておきます。

そして次のプレイヤーが嘆願を開始します。しかし、すでに自分のカードを明け渡したプレイヤーは嘆願を行うことができず、また手番の流れからも排除されます。

複数のカードを持っているプレイヤーに提案を行う場合、この提案は常に全てのカードが対象とされ、提案が受諾されたら必ず全てのカードが明け渡されます。何枚かだけ渡して残りは持っておくということはできません。

総督の候補指名と選出

必要な過半数を獲得したら直ちに、そのプレイヤーは自分のカウンターを一つ、黒のポーンが立っている属州に置くことができます。このプレイヤーは属州統治の候補者指名を受けたことになりますが、しかしまだ総督に任命されたわけではありません。カウンターが足りなかった場合、つまり既に五つ全てのカウンターを盤上に置いていた場合は、カウンターを置くことなくラウンドは終了します。

すでに自分のカウンターが一つ置かれている属州で過半数を獲得した場合は、プレイヤーは遂にその属州の総督の地位を獲得します。新しい総督には、属州の価値に等しい額のチップが国庫から授与されます。この当選したプレイヤーは、自分のカウンター一つを使って、属州の価値が書かれているところを覆います。他のカウンターは全て、この属州から撤去して元の所有者のところに戻します。この属州の体制は確定したので、以降は黒のポーンをここに置くことができなくなります。

各ラウンドの最後に、ラウンドを獲得したプレイヤーは別の属州を選び、そこに黒のポーンを置きます。カウンターは置かれていても構いませんが、総督はまだ選出されていない属州でなければなりません。勿論、七属州のうち六州で総督が任命された後は、最後の決定が行われるまで黒のポーンは七番目の属州に留まります。

連結された属州

隣接する属州のいくつかは、数字の5が書かれた特殊な記号によって連結されています。一人のプレイヤーがこの連結した属州の両方で総督に任命された場合、そのプレイヤーは国庫から追加で5のチップを受け取ります。

勝利条件

全ての属州において総督の職が決せられたら、ゲームは終了となります。プレイヤーは自分のチップを公開し、最も裕福なプレイヤーが勝利します。

自由交渉

標準ゲームにおける厳格なコミュニケーションのルールを和らげようということならば、ここに紹介する、時間のかかる変形ルールをきっと採用することになるでしょう。

誰の目にも明かな第一の変更点は、ロビー活動の手順において双方向の交渉を許可することです。支持を求める嘆願に対して応答することができるようになります。このルールでも、他のプレイヤーは全員黙っていなければいけません。

更に踏み込んで、全プレイヤー間の自由交渉を認めることもできます。必要な過半数の票を支配するような連合が形成され、ラウンドの勝者が承認されたら、そのラウンドは直ちに終了します。

この最後の変形ルールでは、意見の一致無しには勝利者が決定しないので、ゲーム盤上のポーンは不要です。ここで決定無しにラウンドを終了させるようにすることも可能です。一番および二番目に高いカードを出したプレイヤーしか過半数を作ることができないというようにすれば、ゲームに刺激的な対立を生じさせることができます。

短縮ゲーム

時間が押している場合、非常に短縮された「総督」を遊んでみることもできます。ゲーム開始時に、各プレイヤーは1から7までのカードを受け取ります。各属州に黒のポーンは一度しか置かれません。ラウンドを勝ち取ったら即座に総督になります。ゲームは7ラウンドで終了となります。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / ハンニバル対ローマ Hannibal gegen Rom

©Reiner Knizia, 2002
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2人用/10分

第二次ポエニ戦争において、ハンニバルは良く知られているようにイタリアへの遠征を行い、象と共にピレネーそしてアルプスを越えます。 "Hannibal ante portas!" (門前にハンニバルが!)という言葉がローマでは恐怖の表現になり、カンネーにおける敗戦はローマ人にとって暗黒の一日となりました。時の流れと共に、ローマの司令官スキピオは、戦線をイタリアからスペイン、そしてアフリカへと移動させることに成功します。ザマの戦いで、最終局面がローマ優位に決しました。カルタゴは敗れたのです。さもなくば、今日の世界は全く違った様相を示していたことでしょう。

ハンニバル対ローマ」では、この時代に起きた出来事に迫ります。片方のプレイヤーはハンニバルカルタゴ人を指揮し、もう片方はローマ人の役になります。ゲーム盤は西地中海域を、いくつもの区域に分けて示しています。互いの軍団と艦隊がゲーム盤上を動きます。戦闘はカードを使って解決します。以上により、地中海域の主導権が決せられるのです。

用具

同梱のゲーム盤と、赤青それぞれ1〜5の数字カードを使用します。加えて、ポーンが赤青各三つ、カウンターが赤青各七つ必要です。ポーンは艦隊を、カウンターは軍団を表します。

準備

ゲーム盤は二人のプレイヤーの間に置きます。古のローマの時代における西地中海域が描かれています。地域が11あり、五つの海路がそれぞれ地域を二つずつ繋いでいます。

片方のプレイヤーが青のローマ人を導き、もう片方のプレイヤーが赤のカルタゴ人を担当します。両者とも、自分の色の1〜5の数字カードを取って手札とします。

ローマ側は、青の軍団を七つ受け取ります。この軍団はゲーム開始時にはローマ(ROME)にいます。加えて青の艦隊三つを取って、こちらはローマとコルシカ(CORSICA)を繋ぐ海路に置きます。

カルタゴ側は自分のカウンターのうち二つを積み重ねて、特別にハンニバル軍団を作ります。このハンニバル軍団はゲーム開始時にはカルタゴ (CARTHAGO)にいます。この二つのカウンターはゲーム中ずっと繋がったままで、一つの駒として扱います。さらに、カルタゴ人担当のプレイヤーは通常の赤の軍団五つを受け取ってカルタゴに置き、加えて赤の艦隊三つを取りカルタゴサルディニア(SARDINIA)を繋ぐ海路に置きます。

ゲームの流れ

ローマ側からゲームを始めます。その後は最終的にどちらかがその欲する結果を得るまで、両者が交互に手番を行います。

手番のプレイヤーは、必ず自分の軍団または艦隊一つを移動させないといけません。対立する両軍団が同一の地域でぶつかった、あるいは対立する両艦隊が同一の海路でぶつかった場合、戦闘が起きます。戦闘はプレイヤーが持っている手札を使って解決します。以上でプレイヤーの手番は終了となり、相手が次の手番を行います。

手番における二つの活動、つまり軍団か艦隊の移動と戦闘の解決ですが、これを次に説明します。

軍団または艦隊の移動

軍団は隣接する地域へしか移動できません。ふたつの地域が、自軍の艦隊が置かれている海路一本で繋がれている場合、軍団はその海路を渡って向こう側に行くことができます。

カルタゴ側のハンニバル軍団は、直に隣接する地域にしか移動できません。ハンニバルの象は地中海上の三島には渡れないのです。

艦隊は制限無しに、ある海路から別の海路へと移動できます。

戦闘の解決

プレイヤーが自分の軍団を、既に相手の軍団が一つ以上置かれている陸上地域に移動させた場合、戦闘が起きます。戦闘はカードを使って解決します。

両者とも手札から一枚んで同時に公開します。相手より低いカードを出したプレイヤーは、係争地域から自分の軍団を一つ取り去り、ゲームから除去しないといけません。使用した二枚のカードは裏を向けて脇に置きます。

争われている陸上地域にまだ両者の軍団が残っているために戦闘が終息しないという場合、同様の方法で戦いを続けます。それぞれのプレイヤーが新しいカードを一枚ずつ選び、同時に公開し、低い方を出したプレイヤーはまた軍団が一つゲームから廃棄され失われます。この手続きは、該当地域に残っている軍団が全て一方のものとなるまで繰り返されます。

同点の場合、つまり両者が同じ値のカードを選んだ時ですが、この場合は両者とも争いが起きている陸上地域から軍団を一つ取り除きます。使ったカードは裏を向けて脇に置きます。

五回の戦闘でプレイヤーが手札を全て使い切ったら、捨てられていたカードを取って新たに手札とします。両者とも再び、今後の戦闘のために1〜5の全カードを自由にできるわけです。

また、プレイヤーが自分の艦隊を、既に相手の一個以上の艦隊によって占拠されている海路に移動させた場合も、戦闘が発生します。この戦闘は、軍団同士の戦闘と同様の処理で解決します。従って、やはり戦闘はその海路に片方しか残らなくなるまで続きます。

ハンニバル

ハンニバルが関る戦闘では、特別なルールが適用されます。

戦闘の開始時、戦闘が行われる陸上地域にハンニバルが他のカルタゴの軍団と一緒にいた場合、カルタゴ側のプレイヤーはどちらの軍団が戦うのか宣言しなくてはいけません。その陸上地域にいるカルタゴ側の軍団がハンニバル軍団だけだった場合は、自動的にハンニバル軍団が敵と戦うことになります。

ローマ軍団とハンニバル軍団が戦うときは、カルタゴ側のカードの値に1を加えます。カルタゴ側が負けたか同点だった場合、ハンニバル軍団はゲームから取り除かれます。しかしハンニバルが勝ち続けている限りは、カルタゴ側はハンニバル軍団を使いたいときに使うことができます。

勝利条件

ゲームの決着をつける方法は以下の四通りあります。

1.片方のプレイヤーが自分の軍団を相手の首都に進入させることができたら、ゲームは直ちにそのプレイヤーの勝利をもって終了となります。首都防衛戦は行われません。

2.片方のプレイヤーが自手番の終了時に地中海地域を支配していた場合も、そのプレイヤーの勝利をもってゲーム終了となります。

ローマ側のプレイヤーが地中海地域を支配しているものと見なされるのは、サルディニアに一つ、北ヒスパニアモーリタニア(MAURETANIA)に一つ、そしてザマかシシリアに一つ、自分の軍団を置いている時です。カルタゴ側のプレイヤーに要求されるのは、コルシカに軍団一つ、北ヒスパニアガリアに軍団一つ、そしてシシリアかカンネーに軍団一つです。

3.片方のプレイヤーが軍団を全て失ったら、そのプレイヤーの負けとなります。両者が同時にこの状態に陥った場合、ゲームは勝者無しで終了となります。

4.片方のプレイヤーが自分の手番に駒を動かすことができなかったら、そのプレイヤーの負けとなります。相手側も次手番には駒を動かせないであろうことが確実だったとしても、負けに変わりはありません。

シリーズ

ゲーム盤はゲーム的に見て対称なのですが、ハンニバル軍団の存在がこのゲームに非対称性を与えています。一回ごとに役割を交換しながら、どちらかのプレイヤーが二回連続で勝利するまで、ゲームを複数回繰り返して行っても構いません。

中核部の支配

ハンニバル対ローマ」には追加で、地中海地域の支配を巡る闘争と時間的な圧迫をさらに増強する、五つ目の勝利条件を加えることができます。このルールでは追加でチップが八つ必要になり、これはゲーム開始時にはゲーム盤の脇に置いておきます。

地中海上の三島と南北ヒスパニアで、ゲーム盤上の中核五区域が形成されます。ある一中核地域に片方のプレイヤーが軍団を置いているか、あるいは自分の軍団がそこを通過してさらに敵の首都側に置かれているとき、その中核地域は当のプレイヤーの支配下にあると見なされます。

自手番の終了時に中核五区域のうち三つを支配していたら、そのプレイヤーはチップを一枚受け取ります。このとき、相手プレイヤーは自分の持っていたチップを全てゲーム盤脇のストックに返却しなければいけません。

片方のプレイヤーが八枚のチップを獲得したら、切れ目ない優勢により、そのプレイヤーがゲームに勝利します。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 元老院議員 Senator

©Reiner Knizia, 2002
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2(または3)人用/10分

元老院は常に、ローマで最も強い政治権力でした。貴族の家系の代表はそこで、共和国の繁栄を確保するのみならず家系の私的な権益を保障できる方向に、国家の政策を操っていたのです。

元老院議員」では、有力な二つの家系が元老院の主導権を巡って争います。プレイヤーは両方とも、家系の人間を表すカードを自分の前に表にして並べ、このカードを交互に、ゲーム盤端の階段のマスに押し出していきます。前から出されていたカードはずらされて、ゲーム盤の内側の、元老院が位置する場所に移動します。両プレイヤーの目的は、家系の人間を操って、ゲーム盤中央の、権力の座に就かせることです。

用具

ゲーム盤の他に、赤と青のそれぞれ1〜10の数字カード、そして黄色の旗印カードが一枚必要です。

準備

ゲーム盤は横の列が五列と縦の列が五列で、合計21マスから構成されています。中央の九マスは元老院を表しています。盤の外側に位置する12マスは端が切れていますが、この12マスは階段を表しています。この階段を通じてしか、元老院に到達することはできません。

片方のプレイヤーが赤の家系になり、家系の人間を表す十枚のカードを自分の前に表を向けて置きます。もう片方のプレイヤーは青のカードを取って、同じようにします。どちらから始めるか決めます。

ゲームの流れ

最初のプレイヤーがゲームを始める前に、もう片方のプレイヤーが、旗印カードをゲーム盤上の好きなマスに表を向けて置きます。旗印カードは基本のゲームでは特に意味はありません。単にゲーム盤の21番目のマスを埋めるというだけです。

交互に手番を行います。手番のプレイヤーは自分のカードを一枚選び、ゲーム盤周縁の階段のマスへと外側から随意に押し込みます。ゲーム盤のいずれの縁から押し込む場合も、押し込む方向と同じ向きの矢印が示された五つの階段にのみ入れることができます。ゲームの流れの中で、カードをどの方向からゲーム盤に入れるのかも重要になってきます。従ってプレイヤーは、自分の手番に、12ある階段マスのうちの一つにカードを入れる選択肢を20持っていることになります。

家系の新たな人間を押し込もうとしている階段マスに、既にカードが入っていた場合、元々あったカードは、カードを押し込んだのと同じ方向で、隣のマスに押しやられます。そのカードがまた別のカードを押しのけた場合、押しのけられたカードがまた一つ先のマスに追いやられ、以下同様に処理されます。基本原理として、一つのマスには一枚のカードしか存在できないのです。

いったんゲーム盤上の一列全部がカードで埋まったら、その列にはもうカードを押し込めません。カードを押しやってゲーム盤の向こう側に落とすことはできません。

勝利条件

全てのカードが出され、盤上の全てのマスが埋まったら、ゲームは終了します。両プレイヤーとも、盤中央九マスの元老院の中にある自分のカードの値を合計します。階段にとどまっているカードは政治的影響力を持たないので、勘定に入れません。合計値の高いほうのプレイヤーが元老院を支配し、ゲームに勝利します。

旗印カードの特別な機能

旗印カードは、いくつもの刺激的な変形ルールの基となります。

ゲーム終了時点で元老院の中にいるカードのうち、旗印カードと同じ縦列または横列に存在するもの全て、値を倍にすると決めておくこともできます。旗印カードはカエサルと彼の影響力を表します。

ゲームは行方がなかなか決まらなくなり、また濃密で変化に富んだものになります。カエサルに近づこうとする熱狂的な闘争は、熱の入りすぎた多くの代表者たちを元老院から押し出してしまうことでしょう。是非ともこの変形ルールを試してみてください!

もうひとつ考え得る方法は、旗印カードと同じ列にいるのであれば、階段上のカードも得点に加えるというものです。ここに至って、元老院へと続く階段の上でも、権力を巡る争いが始まることになります。このルールと、中央における旗印カードによる倍増効果を併せて、さらなる変形ルールとすることもできます。

逆に、旗印カードに無力化の機能を割り振ることもできます。この場合、旗印カードと同じ列に置かれたカードは得点に数えません。旗印カードはブルータスであり、皆が彼を遠ざけるのです。この破滅的なルールでは、家系の多くの人間は、最終的な得点にまでたどり着けません。

旗印カードの特別な機能は、直に隣接するマスに対してのみ適用するようにするだけで、もっと多くの変形ルールを作ることができます。この効果は、得点倍増や階段上のカードへの追加得点、また個々のカードの無力化などと重ねて採用できます。あなたの想像力に限界はありません!

隠匿ゲーム

真の権力ゲームは公然とではなく、裏で秘密のうちに行われるものです。「元老院議員」では、これを実現することもできます。

ここでは、プレイヤーは自分のカードを手札として持ちます。旗印カードは最初から、ゲーム盤に裏向きの状態で置いておきます。それ以降のカードも、ゲーム盤上に裏を向けて押し込んでいきます。ゲーム中のどの時点でも、これらの中身を覗いてはいけません。ゲーム終了時点ではじめて全てのカードが表にされ、家系の本当の力が明らかになります。これによってゲームの基本戦術に記憶の要素が加わります。

元老院議員」の三人ゲーム

元老院議員」のゲームの原理は、三人目のプレイヤーを入れて拡張することが可能です。この場合、各プレイヤーはそれぞれ一色の数字カード1〜7を受け取ります。

旗印カードは脇に置かれ、ゲームには使用されません。その他の点ではゲームは通常通りに進行します。元老院で最も良い結果を出したプレイヤーが勝利します。

相手となるプレイヤー両方の強さを評価して、それに従って行動することが必要になってきます。同盟は変遷し、同情がゲーム上で役割を持ち、そして不正や軋轢が発生します。これこそが真に権力と干渉のゲームなのです。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / 執政官 Konsul

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

2〜4人用/20分

立身出世した全ての政治キャリアにとっての頂点は、執政官として一年間共和政ローマのために仕えることでした。最も令名の高いローマ市民だけが、この高貴な職務を得ることができたのです。公職の割り振りに関しては、元老院が強い影響力を持っていましたが、しかし勝利への最も重大なステップは、民会における選挙でした。

「執政官」では、プレイヤーは最高の公職を勝ち取るために人気を競います。カードは民会の参加者を表し、伏せて広げておきます。どういった選挙の際にも、候補者は壮大な演説や大層な公約を行いがちなものです。このゲームでは、これらの公約と、選ばれた候補者のそれを実行する能力の両方を再現します。各候補者は組になったカードを可能な限りめくって集めることを試みます。記憶力が問われます。しかし候補者が公約をあまりに多く結びすぎてしまった場合、すぐにカードを失い、選挙に敗れてしまうことでしょう。

用具

このゲームで必要なものは、五色それぞれ1〜8の数字カードと、十枚全ての旗印カードだけです。

準備

1〜5の数字カードは旗印カードと一緒にシャッフルして裏向きに広げ、各列に七枚のカードが並んだ五列の格子を形作ります。

各プレイヤーは最初に、6,7,8の三枚それぞれ異なった色からなる手札を受け取ります。厳密にどのような構成にするかはゲーム上重要なことではありません。余った6,7,8の各カードは伏せて脇に置かれ、ゲーム中では使われません。誰からゲームを開始するか決めてください。

カードの収集

可能な限り多くのカードを集めるのが目的です。各プレイヤーは、なるべく多くの民会参加者を自分の側に付けようと思っているのです。格子中のカードの組を巧くめくっていくことによって、個々のカードを集めることができます。

同色のカードのみ、または同じ値のカードのみによって一つの組が構成されます。カード一枚だけで一つの組とすることも可能です。旗印カードは全て、どの組にも入れることのできるワイルドカードとして扱います。

組の価値は、その組のカードの数字を全て合計したものに等しい値となります。旗印カードは一枚2点の価値を持ちます。

ゲームの流れ

ゲームは何ラウンドかに渡って行われます。各ラウンドの開始時に、格子からカードの組をめくる権利を巡って競りが行われます。

ラウンドを開始したプレイヤーが、最初の競り値を宣言します。以下、ゲームは時計回りに進めていきます。手番のプレイヤーは競り値を上げるかパスをします。一度パスをしたプレイヤーは競りから外され、以後そのラウンド中は競り値を付けることはできません。

最も高い競り値を付けたプレイヤーだけが、このラウンドにおける手番を獲得します。格子に並んだカードから一枚めくり、元々あった場所に表にして置きます。最低でも自分が付けた競り値だけの価値の組を作れるように、カードを一枚一枚めくり続けます。記憶力と運が成否を分けます。

失敗

現在の組に付け加えることのできないようなカードを格子からめくってしまったら、そのプレイヤーの手番は失敗に終わります。

このプレイヤーは過大な公約を結んでしまい全ての責任を果たせなかったということで、自分の手札のうち任意に一枚を選び、このカードを失うことになります。このカードは格子中で空いている任意の場所に、表を向けて置きます。空き場所がなければ、格子の横にカードを置きます。

表になった全てのカードを、元の位置で伏せられた状態になるようにひっくり返します。失敗に終わった落札者の左隣のプレイヤーから、次のラウンドの競りを始めます。

各プレイヤーは自分の手札をゲーム中に確認しても構いません。自分のカードについての情報を他人に明かしてはいけません。

成功

宣言した以上の価値を持つ組を首尾良くめくることができたら、落札者はそこで止めることができます。しかしながら、組の枚数を増やすためにカードをめくり続けることを選んでも構いません。

最終的に組が崩れないまま自分の手番を終えたら、格子中の表になった全てのカードを獲得し、自分の手札に加えます。この成功した落札者から、次のラウンドの競りを開始します。

プレイヤーの早期脱落

もしプレイヤーが競り値を満たすことができず、かつ、このとき格子中に置くべき一枚のカードも手札に残していなかったら、そのプレイヤーはゲームから脱落します。

ゲームの勝利条件

格子中の35枚全てのカードがそれぞれのプレイヤーに配分されたら、ゲームは終了となります。集めたカードの値は考慮されません。各プレイヤーは単純に、手札の枚数を数えます。最も枚数の多いプレイヤーがゲームに勝利し、新しい執政官となります。

カード枚数による競り

記憶ゲームは大人と子供が同じ条件で遊ぶのに大変良いものです。しかし「執政官」では競り値を評価するために、プレイヤーにカードの値を足し算できる能力を求めています。幼いプレイヤーでは問題が起こりやすいでしょう。

純化した変形ルールでは、全てのカードの競りにおける値を1とみなします。民会の全参加者は今や全く等しい存在です。有効な組としてめくれそうなカード枚数を競り値として宣言するだけです。最も大きい枚数を宣言したプレイヤーが手番を獲得し、そしてそのプレイヤーは宣言した枚数以上のカードによる組を作らなければなりません。これにより必要な計算能力は少なくなりますが、それでも楽しいゲームになります。

古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im alten Rom / ローマ七丘 Die Sieben Huegel Roms

©Reiner Knizia, 2002
This is an excerpt from "Neue Spiele im alten Rom - Japanese Edition (ISBN4-9901416-0-1)" published by us (Late Toccobushi Game Club / SAWADA Taiju) under the license of Dr. Reiner Knizia.

2人用/10分

テヴェレ川の河口近く、ローマ七丘は広がっています。この地域に早くから入植を行っていたのは、ラテン人とサビニー人でした。その際、当然ながら、友好関係と同時に、最良の土地への入植をめぐる競争も生じたのです。

プレイヤーはラテン人、サビニー人の役割を担当します。それぞれのプレイヤーは、これらの部族の一つを表す手札を受け取ります。ローマ七丘は両プレイヤーの間に広がっています。プレイヤーは交互にカードを一枚ずつ丘の上に置いていきます。丘に対してより影響力の強い方の部族が、その丘に入植できます。より良い結果を残せるのはどちらでしょう?

用具

このゲームで必要なものは、赤と青の1〜9の数字カードと、黄色の1〜7の数字カードのみです。

準備

片方のプレイヤーは赤のカード九枚を取り、もう片方のプレイヤーは青のカード九枚を受け取ります。黄色のカードはローマ七丘を表し、両プレイヤーの間に列状にして広げます。どちらのプレイヤーから始めるか決めてください。

ゲームの流れ

交互に手番を行います。手番のプレイヤーはカードを一枚選び、そのカードを任意の丘に隣接させて裏向きに置きます。カードはテーブル上の最も自分に近い側に置いてください。既にその場所にカードが置いてある場合は、新しいカードに完全に覆われてしまわないようにしてください。

相手が直前にカードを置いた丘には、自分のカードを置くことはできません。

丘に片方の部族しか住んでいない限りは、その丘に置かれたカードの中身を調べることはできません。しかし、丘に相手方のカードが付け加えられたら、直ちにその丘のカードは全て公開され、表を向けて置かれます。それ以後その丘に付け加えるカードも全て、表を向けて置きます。

ゲームの終了と精算

両者とも全ての手札を出しきったら、ゲームは終了となります。ここで、裏向きになったままのカードを全て公開します。

丘の入植が決行されます。丘に両部族とも存在する場合、それぞれのプレイヤーはその丘に置いた自分のカードについて数字を合計し、そして合計値の高いほうがその丘と黄色カードを獲得します。丘に置かれたカードの合計値が両者とも等しい場合は、黄色カードは先手番のプレイヤーのものになります。丘に一部族しか存在しない場合は、そのプレイヤーがこの丘の黄色カードを受け取ります。

全ての丘について決算が行われたら、それぞれのプレイヤーは自分の黄色カードの数字を合計します。この合計の高いプレイヤーの勝利となります。一ゲームにおける同点は同点のままで処理され勝者の決定は行われません。

シリーズ

一シリーズは二ゲームによって行われ、各プレイヤーが一度ずつ先手番を持ちます。両ゲームの得点を足し合わせ、総得点の高いほうがシリーズの勝者となります。

変形ルール

より戦術的に深いゲームにするために、以下の特別ルールを付け加えることもできます。片方のプレイヤーがある値のカードを丘に出したら、相手側はそれ以後ゲーム中のどの時点でも、その丘には同じ値のカードを出せなくなるというものです。

ある丘のカードを公開したときに、相手が同じ数字のカードを使っていることが解ったら、直ちにゲームから取り除かれ、裏を向けて捨て札となります。ここで手番は反対側のプレイヤーに移りますが、しかし直前に公開したばかりの丘にカードを置くことは依然としてできません。

旗印カードをバリケードとして使う

前の変形ルールと同様の効果を、新たなカードを導入することによって得ることもできます。ゲーム開始時に両プレイヤーは、自分の色の旗印カードを一枚受け取ります。このカードの値は0とします。しかしこのカードはバリケードとしての機能を持ち、これは新たな戦術的可能性を開きます。

旗印カードが丘に出ていた場合、これは次にその丘に出たカードを、そのカードが自分の部族のものであろうと相手部族のものであろうと無効化します。二枚のバリケードが連続して出された場合も、互いに無効化されます。

旗印カードと無効化されたカードは両方ともゲームから取り除かれ、裏を向けて脇に退けておきます。その後に出す次のカードは違う丘に出さなければいけません。

旗印カードが裏を向いて丘に出されている場合、効力はその丘のカードが公開されてはじめて発揮されます。その旗印カードが、自分の部族がその丘に出した最後のカードであれば、公開のきっかけを作ったカードを無効化します。つまり、相手側のカードをです。しかし、旗印カードの後に自分の部族のカードが一枚かそれ以上出されていたら、その時は旗印カードの直後のカードが無効化されることになります。その他のカードは全てそのままです。

バリケード単独では丘の獲得はできません。バリケードは伏せて出すことで相手に対する罠として働き、相手が見知らぬ丘に入植する事のリスクを高めます。バリケードはまた、既に公開された丘に護衛として出すこともできます。

最強カードによる支配とオープン・ゲーム

出されたカードの値の合計ではなく、出された中で最も大きいカードによって丘における勝利が決まるようにすれば、ゲームにさらなる戦術が呼び込まれます。最も位の高いものが地を治め、最強のカードがゲームを支配するのです。

ある丘について、最大のカードで比較して同点になった場合、その丘の所有権は、各プレイヤーがその丘に置いた二番目に大きいカードによって決定します。

通常のゲームですと、出したカードが直ちに表になるようにすると魅力を失ってしまうのですが、この変形ルールでは、そうすることによって更に面白くなります。

ということで、全てのカードを各プレイヤーの前に表にして並べておき、これを表を向けて丘に出すようにします。新たな戦術が要求されます!